相続が発生。土地を誰が相続するか――
家族の将来まで考えた遺産分割の事例
お母様の相続が発生し、「土地を含む遺産を、家族でどのように分ければよいか」という
遺産分割についてご相談いただいた事例です。
相続税額だけでなく、その分け方をした後、ご家族が本当に安心して暮らしていけるかまで考え、
老後の生活、介護、社会保障、不動産の収益力、認知症、二次相続、さらに次世代への承継まで検討しました。
相続財産の大部分を占めていたのは、相続税評価額約4.2億円の商業地の賃貸土地でした。 ご相談の中心は、「この土地を父・長男・二男側の誰が、どのような割合で取得するのがよいのか」という遺産分割の問題です。
そこで、土地の取得割合を変えた複数の遺産分割案を作成し、まず相続税額や納税資金を比較しました。 しかし検討を進めると、相続税が最も安い案を選ぶだけでは、このご家族にとって適切な遺産分割を決められないことが分かってきました。
遺産分割は、今回の相続税だけでなく、分割後の生活、所得、医療・介護負担、土地の管理・売却、 父の二次相続、長男の将来、さらに次世代への承継にも影響します。 そこで、「分けた後も家族が困らないか」から逆算して遺産分割を検討しました。
まず見えてきたのは、2つの大きな問題でした
複数の遺産分割案を比較する中で、税額だけでは判断できない、 「家族関係上の問題」と「承継財産上の問題」が重なっていることが分かりました。
適切な遺産分割を決めるため、相続税の外側まで検討しました
遺産分割は、今回の相続税額を決めるだけの手続ではありません。 その分け方によって、相続後の所得や生活費、介護費、社会保障の負担、 将来の売却可能性まで変わることがあります。
賃貸土地を取得した後の不動産所得
高額な土地を取得すれば財産額は増えますが、同時に不動産所得も発生します。 「いくらの財産を取得するか」だけでなく、取得後の毎年の所得まで確認しました。
医療・介護・保険料への影響
所得が増えることで、後期高齢者医療保険料、医療機関の窓口負担、 介護保険料、介護サービス利用時の自己負担割合にどのような影響が出る可能性があるかを検討しました。
父の生活・介護資金
現在の生活費だけでなく、将来の施設入居、介護、医療費などを想定し、 土地を途中で売却せずに生活を維持できるかを確認しました。
年金受給までの資金繰り
長男についても、相続でいくら取得するかではなく、 納税後にどれだけ手元資金が残り、年金受給開始まで安心して生活できるかを検証しました。
必要なときに土地を売却できるか
高齢の父が土地を取得した後、判断能力が低下した場合、 介護費等のため売却したくても売却できなくなる可能性があります。 そのため、対象財産・権限・登記等の条件を確認しながら、家族信託等も含めた財産管理の方法を検討しました。
二次相続・孫世代まで
今回の相続税だけでなく、父の二次相続、長男の将来、 さらに二男側・孫世代への承継まで見据えて、資産がどこへ向かうのかを確認しました。
「相続税が安い」だけでは、良い遺産分割とは限りません
本事例では、土地を誰がどの割合で取得するかについて複数案を比較しました。 しかし、比較したのは相続税額だけではありません。
税額だけで考えると
- 今回の相続税が最も少ない案を選ぶ
- 財産額の公平性だけで分ける
- 申告期限までの問題だけを見る
今回実際に比較したこと
- 一次・二次相続を通算した税負担
- 納税後に各人へ残る現金
- 父の老後・介護資金
- 長男の年金受給までの生活資金
- 相続後の医療・介護・保険料負担
- 土地を持ち続けられるか
- 認知症後も必要時に売却できるか
- 次世代への最終的な承継
判断の順番を変えると、相続の見え方が変わります
生活を守れるか
保有・管理できるか
税務上も合理的か
この事例で行った検討
家族関係と生活状況を整理
相続人の人数だけでなく、誰が誰を支えているのか、今後誰の生活を守る必要があるのかを整理しました。
土地の「評価」と「稼ぐ力」を分けて確認
高い相続税評価額に対して、実際にどれだけの手取り収入を生む土地なのかを確認しました。
複数の遺産分割案を比較
今回の相続税だけでなく、父の二次相続、納税資金、生活資金、共有状態、将来の売却可能性まで比較しました。
相続後の生活コストまで確認
不動産所得増加による社会保険料や医療・介護の自己負担への影響も確認しました。
老後・介護と土地売却の出口を設計
父と長男の資金繰りを確認し、必要になった場合の土地売却に備えて、家族信託等を含む財産管理の仕組みを検討しました。
二次相続とその先まで承継を確認
父の相続後だけでなく、次の相続、さらに二男側・孫世代まで財産がどうつながるかを見通しました。
当事務所が目指すのは、「分けた後も困らない遺産分割」です
本事例では、相続税の負担を抑えることだけを目的に遺産分割案を選びませんでした。 家族の生活、老後、介護、社会保障、不動産、認知症、二次相続まで含めて考えた結果、 「保有すること」と「必要なら売却できること」の両方を残す承継設計が重要だと判断しました。
この事例からお伝えしたいこと
同じようなお悩みがある方へ
「相続財産の大半が土地」「路線価は上がっているが収益は増えていない」 「高齢の親の介護も心配」「同居する子の生活も守りたい」 「相続税だけでなく二次相続まで考えたい」といった場合は、 税額計算だけでは十分でないことがあります。
家族関係、生活資金、不動産の収益力、社会保障、認知症、二次相続まで含めて整理することで、 初めて見えてくる選択肢があります。
相続発生後の「どう分けるか」から、一緒に整理します
佐々木税務会計事務所では、相続税額だけでなく、 相続後の生活、老後資金、社会保障、不動産、認知症、二次相続、次世代承継まで見ながら、 ご家族にとって無理のない遺産分割・資産承継を検討します。
遺産分割・相続税について相談する※本ページは個別事例における検討内容を、個人・財産を特定できないよう一般化して紹介したものです。 掲載するモデル計算は説明のための概算であり、実際の税額、社会保険料、医療・介護の負担割合、 各種特例の適用結果等は、相続開始時点の法令・制度、相続人の構成、所得、財産・債務、 取得割合、利用状況その他の条件により異なります。


















