相続が発生した方へ
大切な方が亡くなった後、「何から始めればよいのか」「いつまでに何をすればよいのか」を、相続発生直後から10か月、その後まで順番に整理します。
限定承認
必要な場合
納税
相続では、すべての手続きを同時に進める必要はありません。まず、遺言書・相続人・財産・借金・期限を確認し、そのうえで相続放棄、遺産分割、相続税、不動産の名義変更へ進みます。
特に重要なのは、原則3か月の相続放棄・限定承認、4か月の準確定申告、10か月の相続税申告・納税です。期限はすべて単純に「死亡日から」数えるわけではないため、起算点も確認してください。
まず覚えておきたい4つの期限
「10か月あるから大丈夫」と考える前に、最初の3か月を意識してください。
原則の熟慮期間
必要な場合
必要な場合
不動産を相続した場合
期限のある手続き
相続放棄・準確定申告・相続税申告・相続登記などについて、期限と起算点を詳しく確認します。
期限のページへ →相続発生後10か月ロードマップ
何をいつまでに行うのか、まず全体像を確認してください。
遺言書、財産・借金、相続人、不動産、認知症、海外居住、事業の有無などにより、必要な手続と優先順位は変わります。
最初の1か月|まず確認する6つのこと
- 遺言書があるか確認する
公正証書遺言、自筆証書遺言、法務局保管制度の利用などを確認します。 - 相続人を確認する
戸籍等を収集し、誰が法定相続人になるか確認します。 - 財産を調べる
預貯金、不動産、株式、保険、自社株、貸付金などを把握します。 - 借金・保証債務を調べる
住宅ローン、事業借入、保証、未払税金なども確認します。 - 相続税がかかりそうか概算する
不動産、生前贈与、名義財産等も含めて確認します。 - 3か月・4か月・10か月から逆算する
期限のある手続の必要性を早めに判断します。
遺言書を最初に確認する
公正証書遺言
原則として家庭裁判所の検認は不要です。内容と遺言執行者の指定を確認します。
法務局保管の自筆証書遺言
法務局の保管制度を利用している遺言書は、家庭裁判所の検認が不要です。
自宅等で保管された自筆証書遺言
必要に応じて家庭裁判所の検認手続を行います。
相続人を確認する
確認すること
- 配偶者
- 子・代襲相続人
- 父母・祖父母
- 兄弟姉妹・甥姪
- 前婚の子・認知した子
- 養子
相続人は誰になるのか
家族構成ごとの法定相続人や注意点を確認します。
相続人のページへ →財産と借金を調べる
主な財産
- 預貯金
- 土地・建物
- 株式・投資信託
- 生命保険
- 自社株
- 貸付金・その他財産
借金・要確認事項
- 住宅・事業借入
- 保証債務
- 未払税金
- クレジット債務
- 事業の未払金
- その他債務
税務上確認したい財産
- 名義預金
- 生前贈与
- 相続時精算課税
- 家族名義財産
- 海外財産
- デジタル資産等
相続人の範囲や財産の所在が分からない場合、必要に応じて戸籍等による相続人確認や、把握できる資料・情報を基礎とした財産調査を進めます。すべての財産の完全な発見を保証するものではなく、入手可能な情報と合理的な手掛かりをもとに確認します。
3か月|相続するか、放棄するかを判断する
相続放棄・限定承認の熟慮期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。
早めに検討したいケース
- 借金が財産を上回る可能性がある
- 保証債務がある
- 事業債務の全体像が分からない
- 取得したくない財産がある
相続放棄・限定承認
承認・放棄の違いや期限を詳しく確認します。
相続放棄のページへ →家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てられる場合があります。
4か月|準確定申告が必要か確認する
亡くなった方に確定申告が必要な所得があった場合などには、相続人等が準確定申告を行います。原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
確認したい例
不動産所得、事業所得、譲渡所得、複数の給与・年金等の状況を確認します。
相続税とは別の期限
相続税の10か月期限とは別に進みます。資料収集を並行すると効率的です。
遺産分割は、税額も試算しながら比較することが大切です
誰がどの財産を取得するかによって、相続税額、将来の譲渡所得、不動産の管理、二次相続などが変わることがあります。分割案と税額を行き来しながら比較することが重要です。
自宅、収益物件、事業用資産、共有不動産などは、その後の管理負担や収益性も含めて検討します。
遺産分割協議について
現物分割、代償分割、換価分割、共有などを比較します。
遺産分割のページへ →不動産がある場合は、税務と市場価値の両方を見る
不動産は相続税評価額と実際の市場価値が異なります。遺産分割、納税資金、売却・保有を判断するときは、評価だけでなく管理や将来の手取りも確認します。
相続税がかかるか確認する
相続税は、単純な預金残高だけで決まりません。不動産、生命保険、生前贈与、名義財産、債務等を整理して申告要否を判定します。
6~9か月頃|遺産分割と納税資金を具体化する
相続税申告が必要な場合は、遺産分割協議だけでなく「どう納税するか」まで並行して考えます。
預貯金
分割後に誰がどの程度の現金を取得するか確認します。
生命保険金
受取人、非課税枠、納税資金への活用可能性を確認します。
不動産
売却が必要な場合は、査定、測量、共有者、売却期間等を早めに確認します。
相続税の申告・納税期限は、売却が終わるまで待ってくれる制度ではありません。
10か月|相続税申告・納税
相続税の申告が必要な場合、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税します。
未分割の状態で申告し、その後の分割に応じて更正の請求等を検討する場合があります。
相続税申告後にも残ることがある手続
預貯金・証券等
遺産分割の内容に基づき解約、払戻し、移管等を進めます。これらは相続税申告前に進める場合もあり、10か月後に限る手続ではありません。
不動産の相続登記
相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日などを基準に、原則3年以内の申請義務があります。相続税申告の前後にかかわらず、期限を確認して進めます。
売却・承継
不動産や事業について、保有、売却、賃貸、承継等の方針を実行します。
家族の状況によって、手続は大きく変わります
相続人が認知症
遺産分割への参加能力、成年後見等、相続税期限を整理します。
相続人が海外居住
署名証明、税務手続、納税管理人等を確認する場合があります。
未成年者がいる
利益相反や特別代理人の要否を確認します。
行方不明者がいる
不在者財産管理人等の家庭裁判所手続を検討する場合があります。
兄弟姉妹の相続
戸籍収集範囲が広くなり、甥姪まで相続人になることがあります。
事業・自社株がある
議決権、経営承継、株価評価、納税資金を一体で確認します。
税務署はここを見る
- 家族名義の預金・証券等の実質的な帰属
- 相続開始前の預金移動や多額の出金
- 生前贈与・相続時精算課税の適用関係
- 不動産・自社株等の財産評価
- 債務・葬式費用の控除要件
- 各種特例の適用要件
税理士はここを見る
① 期限から逆算する
3か月、4か月、10か月を最初に確認し、資料収集と判断の順序を組みます。
② 相続税申告上の財産・債務を整理する
預金・不動産だけでなく、生前贈与、名義財産、海外財産、自社株、債務など、適正な相続税申告に必要な範囲を確認します。
③ 分割と税金を別々に考えない
誰が何を取得するかで税額や将来の管理が変わるため、分割案ごとに比較します。
④ 相続後まで見る
不動産の売却、二次相続、事業承継など、申告後に起こることも考えて整理します。
よくある失敗
- 10か月だけを意識し、3か月の相続放棄期限を見落とす
- 遺言書を確認する前に遺産分割を進める
- 預金だけを見て、借金・保証債務を調べない
- 相続税計算をしないまま遺産分割を決める
- 不動産を「公平だから」と安易に共有する
- 名義預金や過去の贈与を確認しない
- 納税資金のための不動産売却を期限直前に始める
今どこまで進んでいますか?セルフチェック
- 遺言書の有無を確認した
- 相続人を戸籍等で確認した
- 預貯金・不動産・証券等を一覧にした
- 借金・保証債務を確認した
- 3か月の相続放棄期限を確認した
- 準確定申告が必要か確認した
- 相続税がかかるか概算した
- 遺産分割の方向性を確認した
- 不動産の評価・市場価値を確認した
- 相続税の納税資金を確認した
- 相続登記等の相続後手続を確認した
よくある質問
Q.相続が発生したら、税理士にはいつ相談すればよいですか?
Q.相続税がかからなければ、何もしなくてよいですか?
Q.遺産分割が10か月までに終わらない場合、相続税申告は待てますか?
Q.借金があるか分かりません。相続放棄の3か月を延ばせますか?
Q.不動産は相続税評価額で兄弟に分ければ公平ですか?
当事務所の考え方
相続手続は、戸籍収集、名義変更、相続税申告を別々に進めればよいものではありません。
相続放棄の期限、遺産分割、相続税、不動産、納税資金、二次相続などはつながっています。
当事務所では、まず「今どの段階にいるか」「どの期限が迫っているか」「何を決める必要があるか」を整理し、その後に必要な税務・法務・不動産の手続へ進むことを大切にしています。
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公的機関の参考情報
本ページは一般的な制度・手続の案内です。実際の期限や必要手続は、相続開始を知った日、家族関係、財産内容、遺言、相続人の状況等により異なる場合があります。


















