不動産について知りたい方へ
不動産は、税金だけで決めることができません。誰が持つか、どう管理するか、収支はどうなるか、将来売却・建替えできるかまで整理して考えることが大切です。
不動産は「分けにくい」「すぐに現金化できない」「管理や修繕が必要」という特徴があります。さらに、相続税評価額と実際に売れる価格は同じではありません。
そのため、相続税の節税だけでなく、所有・管理・収支・将来の売却や建替えを一緒に確認します。特に親の判断能力が低下すると、売却や大規模な契約が難しくなることがあるため、時間軸も重要です。
まず、何にお困りですか?
制度名を選ぶ必要はありません。今の悩みに近い入口から確認してください。
売る・残す・分ける
相続後の取得者、共有、売却、活用について考えたい方
管理・認知症に備える
空き家、賃貸管理、修繕、判断能力低下後の対応が心配な方
評価・納税資金を確認する
相続税評価、売却手取り、納税資金を整理したい方
あなたは今、どの段階ですか?
同じ不動産でも、親が元気な時と、認知症になった後、相続が発生した後では、選べる方法が変わります。
特に不動産の売却、建替え、借入れなどは、所有者本人の意思能力や法的な権限が問題になります。「必要になった時に考える」では選択肢が狭くなる場合があります。
不動産は「誰の名義か」だけでは判断できません
不動産を考えるときは、所有だけでなく、管理の負担、毎年の収支、将来の売却や建替えまで確認します。
不動産は、名義だけでなく、管理できる人がいるか、修繕や借入れを含めて資金が残るか、将来売却・建替えできるかまで一緒に確認します。
土地・自宅・収益物件では、見るポイントが違います
土地
- 利用状況と権利関係
- 境界・測量
- 相続税評価
- 共有化のリスク
- 売却・活用の可能性
自宅
- 誰が住み続けるか
- 空き家になる可能性
- 維持管理費
- 認知症後の売却
- 相続後の売却特例
収益物件
- 実際の手残り
- 修繕・建替え
- 借入金
- 賃貸管理
- 将来の承継・売却
売る・残す・分ける|税額だけで結論を出さない
| 選択肢 | 確認したいこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 残す | 利用目的、収支、管理者、修繕計画 | 使わない不動産でも固定資産税や管理費は続きます。 |
| 売る | 時価、手取り額、譲渡税、売却時期 | 相続税評価額と売却価格は別です。 |
| 分ける | 現物分割、代償分割、換価分割 | 安易な共有は将来の売却・管理を難しくすることがあります。 |
| 活かす | 賃貸、建替え、土地活用、法人化 | 節税効果だけでなく借入れ・空室・修繕リスクを確認します。 |
認知症になると、不動産はどうなる?
所有者本人の判断能力が低下すると、家族だからという理由だけで本人名義の不動産を自由に売却・建替えできるわけではありません。
元気なうちであれば、財産管理の方法として家族信託や任意後見などを検討できる場合があります。すでに判断能力が低下している場合は、成年後見制度の検討が必要になることがあります。
自宅を将来売却したいのか、収益物件を継続管理したいのか、建替えまで想定するのかによって、必要な権限と制度は異なります。
相続税評価と市場価値は、目的が違います
不動産には、相続税を計算するための「相続税評価」と、実際の不動産市場でどの程度の価値があるかという「市場価値」があります。さらに、売却を検討する場合には、価格だけでなく最終的にいくら資金が残るかも重要です。
相続税評価
路線価や倍率方式など、相続税法上のルールに基づいて評価します。相続税額を計算するための基礎となる金額です。
想定される市場価値
周辺の取引事例、市場動向、物件の個別性などから、売却を検討する際の参考となる価値を確認します。
売却した場合の手取り
売却価格だけでなく、売却費用、譲渡所得税、借入金の返済なども考慮し、実際に残る資金を確認します。
遺産分割、代償金、納税資金、売却・保有、将来の承継を考える際には、相続税評価だけでは判断できないことがあります。当事務所では、必要に応じて不動産市場の情報や査定システム等も参考にしながら、市場価値を判断材料の一つとして確認します。
※市場価値についてより詳細な確認が必要な場合には、宅地建物取引業の免許を有するグループ会社その他の専門家と連携して確認することがあります。査定額等は参考値であり、実際の成約価格を保証するものではありません。
税理士はここを見る
① 相続税だけで得か損かを決めない
評価減ができても、借入返済や修繕費で資金が残らなければ、家族にとって良い承継とは限りません。
② 相続税評価と市場価値を分けて見る
税務上の評価と市場での価値は目的が異なります。必要に応じて売却費用、借入返済、譲渡税等まで考慮し、実際の手取りも確認します。
③ 二次相続まで見る
今回の相続だけでなく、次の相続で誰が取得し、管理できるかまで確認します。
④ 家族が実行できるかを見る
認知症、遠方居住、共有、管理負担など、税額表だけには表れない実務上の問題を確認します。
よくある失敗
- 相続税対策だけを目的に賃貸物件を建築する
- 「公平だから」と不動産を兄弟で安易に共有する
- 親が認知症になってから売却方法を考え始める
- 相続税評価額だけを見て売却価格も同じだと思う
- 家賃収入だけを見て、修繕・借入れ・税金を含む手残りを確認しない
- 相続税の納期限直前になってから売却を始める
セルフチェック
- 所有している不動産を一覧にできる
- 名義と共有者を把握している
- 土地の境界や利用状況を把握している
- 収益物件の年間手残りを把握している
- 今後10年程度の修繕予定を把握している
- 借入金残高を把握している
- 親が管理できなくなった場合の方法を考えている
- 相続後に誰が取得するか家族で話したことがある
- 売却した場合の概算手取りを把握している
- 相続税の納税資金を確認している
よくある質問
Q.不動産は相続前に売った方がよいですか?
Q.兄弟で公平にするため、共有名義にした方がよいですか?
Q.親が認知症になっても、子が代わりに家を売れますか?
Q.相続税評価が低い不動産は、残した方が得ですか?
Q.収益物件は法人にした方がよいですか?
当事務所の考え方
不動産対策は、「相続税をいくら下げられるか」だけを競うものではないと考えています。
税額が下がっても、管理できない不動産が残る、兄弟共有で動かせない、多額の修繕が必要になる、認知症後に売却できない、納税資金が不足するのであれば、家族にとって安心できる対策とはいえません。
当事務所では、税務・不動産・相続・認知症対策を切り離さず、ご家族が将来「この不動産をどうしたいのか」から逆算して整理します。
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