面談予約はこちら
予約専用ダイヤル

0422-07-5393

受付時間:9:00~18:00(平日)

暦年贈与とは|年110万円・7年加算・連年贈与の注意点を税理士が解説

令和8年(2026年)版
年110万円の贈与は、
今も利用できます

暦年贈与は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額を基に贈与税を計算する制度です。 年110万円の基礎控除は現在もありますが、相続開始前贈与の加算期間は、相続開始時期に応じて3年から7年へ段階的に延長されています。

結論:110万円以下かどうかだけでなく、相続時の加算と贈与の実態を確認します。 年110万円以下であれば原則として贈与税申告は不要ですが、名義だけの移転では贈与として認められない可能性があります。 また、相続税が見込まれる場合は、年110万円を超えて贈与税を負担した方が、家族全体の税負担を抑えられることもあります。

1.暦年贈与とは

暦年贈与とは、暦年課税を利用して行う贈与をいいます。 その年の1月1日から12月31日までに、受贈者が贈与により取得した財産の価額をすべて合計し、基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算します。

暦年課税は「受贈者ごと・1年間」で計算します
父からの贈与 80万円
母からの贈与 60万円
その年の贈与合計 140万円 110万円を超えるため申告対象
110万円は、贈与者ごとではありません。
受贈者が同じ年に複数人から贈与を受けた場合は、その年の贈与財産を合計します。 父から110万円、母から110万円を受けた場合、合計220万円として計算します。

2.年110万円の基礎控除

1年間に受けた贈与財産の合計額
基礎控除110万円
基礎控除後の課税価格
  • 1年間の贈与合計額が110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません
  • 暦年課税では、通常、110万円以下であれば贈与税申告は不要です
  • 110万円は贈与した人ではなく、贈与を受けた人ごとに計算します
  • 現金だけでなく、不動産、株式、保険料負担などの経済的利益も合計します
年110万円の基礎控除は廃止されていません。 ただし、相続税との関係では、贈与者の死亡時期や受贈者が相続・遺贈等で財産を取得したかどうかにより、生前贈与加算の対象となる場合があります。

3.贈与税の税率と計算方法

基礎控除110万円を超えた部分には、贈与者と受贈者の関係、受贈者の年齢に応じて「一般税率」または「特例税率」を適用します。

一般贈与財産

兄弟間、夫婦間、親族以外からの贈与、または直系尊属から贈与を受けた受贈者が贈与年の1月1日現在で18歳未満である場合などに用います。

特例贈与財産

贈与年の1月1日現在で18歳以上の人が、父母・祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に用います。

一般贈与財産の速算表
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円
特例贈与財産の速算表
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円
計算例:18歳以上の子が父から500万円を受けた場合
500万円 - 110万円 = 390万円
390万円 × 15% - 10万円 = 贈与税48万5,000円

※他の贈与者から受けた一般贈与財産と特例贈与財産が同一年にある場合は、単純に別々に基礎控除を適用するのではなく、所定の按分計算を行います。

4.相続開始前贈与の加算期間は、3年から7年へ段階的に延長

令和6年1月1日以後の暦年課税による贈与については、相続税へ加算する期間が、相続開始前3年以内から7年以内へ段階的に延長されます。 令和8年現在は、まだ移行期間中です。

令和8年12月31日までの相続 相続開始前3年以内
令和9年から令和12年の相続 令和6年1月1日から相続開始日まで
令和13年1月1日以後の相続 相続開始前7年以内
延長された期間 贈与額の合計から100万円を控除
「令和6年から、直ちに過去7年分が全部加算される」わけではありません。
完全な7年加算となるのは令和13年1月1日以後に開始する相続です。 また、延長された期間に係る100万円控除は、毎年100万円ではなく、その延長期間の贈与額合計から一度だけ控除する合計額です。
令和13年以後の相続におけるイメージ
相続開始前3年以内 贈与額を加算
110万円以下の贈与も対象
3年超7年以内 贈与額を加算
この期間の合計から100万円控除
相続税の課税価格へ 贈与時の価額で加算

5.誰への贈与が相続税へ加算されるか

暦年課税による生前贈与が加算されるのは、原則として、被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人が、その被相続人から加算対象期間内に贈与を受けていた場合です。

子への贈与

子が相続人として財産を取得する場合、加算対象期間内の贈与は原則として加算対象です。

孫への贈与

孫が相続・遺贈や死亡保険金等を取得しない場合は加算対象とならないことがありますが、一律に対象外とはいえません。

相続人以外への贈与

その人が被相続人から相続・遺贈等で財産を取得しなければ、原則として暦年課税の生前贈与加算の対象外です。

死亡保険金を受け取る人にも注意が必要です。
死亡保険金は、相続税上のみなし相続財産として取得した財産に含まれるため、受取人が加算対象期間内に暦年贈与を受けていた場合は、生前贈与加算の対象となることがあります。

6.毎年110万円を贈与すると「連年贈与」になるのか

毎年同じ金額を贈与しただけで、直ちに複数年分の贈与が一括課税されるわけではありません。 重要なのは、最初の年に「今後10年間、毎年100万円を贈与する」など、複数年にわたる給付を約束する契約が成立していたかどうかです。

毎年の独立した贈与と、定期金給付契約の違い
毎年の独立した贈与 毎年その都度合意
各年ごとに契約と実行
各年の贈与として判定
複数年分を最初に約束 10年間毎年100万円など
最初から給付を受ける権利が成立
定期金に関する権利の贈与となる可能性
毎年同じ日、同じ金額で贈与したことだけを理由に、直ちに定期金に関する権利の贈与になるわけではありません。 また、毎年あえて金額や日付を変えることや、110万円を超えて申告することは、法令上の必須要件ではありません。 各年に独立した贈与の合意と実行があることが重要です。
「連年贈与」という言葉の使い方に注意してください。
一般には、毎年繰り返す贈与を連年贈与と呼ぶことがあります。 しかし、税務上問題となるのは、毎年贈与したこと自体ではなく、当初から複数年分の給付を受ける権利をまとめて取得したと認定される場合です。

7.贈与として説明できるように残したい資料と実態

1
双方の贈与意思

贈与者が「あげる」、受贈者が「もらう」と合意していることが必要です。受贈者が贈与を知らない状態は避けます。

2
各年の贈与契約書

贈与日、財産、金額、当事者を明記し、各年の贈与ごとに作成します。契約書だけでなく実行も必要です。

3
銀行振込の記録

贈与者の口座から受贈者本人の口座へ振り込み、資金移動の経路を明確にします。

4
受贈者による管理

通帳、キャッシュカード、届出印、暗証番号などを受贈者が管理し、自由に使用できる状態にします。

5
贈与税申告書

110万円を超える場合は、受贈者が期限内に申告・納税します。申告書は贈与の実態を説明する資料の一つになります。

6
贈与後の使用・保管

贈与後も親が勝手に引き出したり、自分のために使用したりしないようにします。

贈与契約書があれば、必ず贈与として認められるわけではありません。
契約書、資金移動、受贈者の認識、管理・使用の実態を総合して判断されます。

8.年110万円を超えて贈与した方が有利なこともあります

相続税が見込まれる家庭では、基礎控除内の贈与だけが最適とは限りません。 贈与税の実効税率と、将来見込まれる相続税の限界税率、贈与期間、受贈者数を比較し、年110万円を超えて贈与することも検討します。

贈与額を決めるときの比較
贈与税負担 贈与額・税率・受贈者数
VS
相続税の軽減見込額 将来の相続税率・加算期間
生活・資産管理 老後資金・家族の公平性
相続税の最高税率だけを見て判断しないでください。
実際には、贈与しなかった場合に増える相続税額、各相続人の取得額、配偶者税額軽減、小規模宅地等の特例、二次相続などを反映した比較が必要です。

9.暦年贈与で失敗しやすい例

名義預金になっている

子名義でも、親が通帳・印鑑を管理し、子が存在を知らず自由に使えない場合は、親の相続財産と判断される可能性があります。

贈与の合意がない

贈与は契約です。受贈者が知らないまま口座へ入金しただけでは、贈与の成立が問題となります。

最初から長期の給付を約束する

「10年間、毎年100万円を渡す」と当初から契約すると、定期金に関する権利の贈与として課税される可能性があります。

110万円を複数人から受けても合算しない

基礎控除は受贈者ごとです。同一年に父母や祖父母など複数人から受けた贈与は合計します。

7年加算を一律に誤解する

相続開始時期により対象期間は異なります。また、誰が相続・遺贈等で財産を取得したかによっても加算対象が変わります。

贈与者の老後資金が不足する

税負担軽減を優先しすぎず、生活費、医療費、介護費、住み替え費用を確保しておきます。

10.暦年課税と相続時精算課税の違い

比較項目 暦年課税 相続時精算課税
年110万円 受贈者ごとの基礎控除 受贈者ごとの基礎控除。複数の特定贈与者がいる場合は按分
税率 10%から55%の累進税率 2,500万円の特別控除超過部分に20%
相続時の加算 一定期間内の贈与を加算 年110万円控除後の適用財産を原則としてすべて加算
制度変更 将来、要件を満たせば精算課税を選択可能 同じ贈与者について暦年課税へ戻れない
主な検討場面 毎年柔軟に贈与したい、複数人へ分散したい まとまった財産を早期移転したい、値上がり・収益移転を検討したい

制度の有利不利は、贈与期間、贈与者の年齢、財産の種類、値上がり、収益、相続税の有無などにより異なります。

11.暦年贈与を実行するまでの流れ

STEP 1 現在の財産と将来の相続税を概算する
STEP 2 贈与者の老後資金と生活費を確保する
STEP 3 受贈者、財産、金額、時期を決める
STEP 4 各年の贈与について双方で合意する
STEP 5 贈与契約書を作成し、振込等を実行する
STEP 6 110万円を超える場合は翌年に贈与税申告・納税
STEP 7 相続時の加算期間と財産状況を毎年見直す

12.暦年贈与・連年贈与のよくある質問

Q1.毎年110万円を贈与すると、まとめて課税されますか。
毎年その都度、独立した贈与契約を結び、それに基づいて贈与が実行されている場合は、各年の贈与として扱われます。 最初から複数年分の給付を約束していた場合は、定期金に関する権利の贈与として課税される可能性があります。
Q2.毎年、贈与日や金額を変えなければなりませんか。
法令上の必須要件ではありません。 毎年同じ日や同じ金額であっても、各年に独立した贈与の合意と実行があれば、それだけで直ちに複数年分の贈与とはなりません。
Q3.110万円を少し超えて申告した方が安全ですか。
110万円を超えて贈与税申告をすることは、贈与を説明する資料の一つにはなりますが、贈与成立の必須条件ではありません。 契約、資金移動、受贈者の認識と管理の実態が重要です。
Q4.父と母から110万円ずつ受けても非課税ですか。
いいえ。暦年課税の基礎控除は受贈者ごとに年110万円です。 父から110万円、母から110万円を受けた場合は、合計220万円から110万円を控除して計算します。
Q5.110万円以下なら贈与契約書は不要ですか。
法律上、現金贈与は口頭でも成立し得ますが、相続時や税務調査で贈与の事実を説明するため、契約書と振込記録を残すことを推奨します。
Q6.7年前の贈与は、令和8年の相続でも加算されますか。
令和8年12月31日までに開始した相続については、原則として相続開始前3年以内です。 完全な7年加算は令和13年1月1日以後に開始する相続からです。
Q7.延長された4年間の100万円控除は毎年100万円ですか。
いいえ。延長された期間に受けた贈与の合計額から、総額100万円を控除します。
Q8.孫への贈与なら7年加算の対象外ですか。
孫が被相続人から相続・遺贈や死亡保険金などを取得するかによって異なります。 一律に対象外とはいえません。
Q9.贈与税を払っていれば、名義預金にはなりませんか。
贈与税申告をしていても、受贈者が贈与を認識せず、親が預金を管理・使用している場合は、贈与の実態が問題となります。
Q10.年110万円を超えて贈与する意味はありますか。
将来の相続税率が高い場合や、贈与できる期間が限られる場合は、贈与税を負担しても家族全体の税負担を抑えられることがあります。 個別のシミュレーションが必要です。

13.関連する生前贈与ページ

※「#」のリンクは、専門ページ公開後に正式URLへ差し替えてください。

年110万円に限定せず、相続税まで含めて贈与額を検討します

当事務所では、相続税の概算、贈与期間、受贈者数、贈与税率、生前贈与加算、生活資金を踏まえ、贈与しない場合も含めて比較します。

暦年贈与について相談する 相続税を概算する

監修・更新情報

監修:佐々木税務会計事務所

最終更新:令和8年8月

本ページは一般的な制度の概要を説明するものです。 個別の適用関係は、贈与日、相続開始日、贈与者・受贈者の関係、財産内容、相続・遺贈等による取得状況、過去の申告状況等により異なります。

 
この記事を担当した執筆者
佐々木税務会計事務所 共同代表 佐々木 清子
保有資格税理士・行政書士
専門分野相続税・家族問題・不動産
経歴大手税理士法人において、相続税申告、財産評価、遺産分割、生前対策、相続手続など、数多くの資産税案件に携わった後、佐々木税務会計事務所の共同代表として現在に至ります。 これまで、遺産総額数千万円規模の一般のご家庭から、数百億円規模の資産を有する地主・企業オーナーまで、幅広いお客様の相続・資産承継をサポートしてまいりました。 相続は、ご家族ごとに抱える事情や想いが異なり、同じ案件は一つとしてありません。 そのため私は、税法や制度だけに目を向けるのではなく、お客様一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、ご家族にとって最適な選択肢をご提案することを何より大切にしています。 相続税申告はもちろん、財産評価、遺産分割、生前対策、遺言書の作成、資産承継など、それぞれのご家庭の状況に応じたきめ細やかなサポートを心掛けています。 また、相続手続が完了した後も、ご家族が安心して生活を送れるよう、資産承継後の見守りや財産管理に関するご相談にも継続して対応しております。 相続は、一度きりの手続きではなく、ご家族のこれからの人生につながる大切な節目です。 だからこそ、お客様の不安に寄り添い、一つひとつの疑問を丁寧に解消しながら、安心して未来へ歩んでいただけるよう、誠実にサポートしてまいります。
専門家紹介はこちら