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贈与税申告|申告が必要なケース・期限・必要書類を税理士が解説

令和8年(2026年)版・実務ガイド
贈与税が0円でも、
申告や届出が必要なことがあります

贈与税申告は、単に「110万円を超えたか」だけでは判断できません。 相続時精算課税、住宅取得等資金の非課税、配偶者控除などは、税額が0円でも期限内の申告・届出が適用要件となる場合があります。

結論:贈与を受けた翌年の3月15日までに、申告要否と特例手続を確認します。 暦年課税で年間110万円以下なら原則申告不要ですが、相続時精算課税を初めて選択する年は選択届出書が必要です。 住宅取得等資金の非課税や配偶者控除を使う場合も、税額が0円であっても期限内申告が必要です。

1.贈与税申告が必要なケース

申告要否の基本フロー
1年間に贈与を受けた現金・不動産・株式など
暦年課税で110万円超申告必要
または
特例を利用申告・届出を確認
1
暦年課税で年110万円を超えた

受贈者が1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計額が110万円を超える場合。

2
相続時精算課税で110万円を超えた

特定贈与者から受けた相続時精算課税適用財産の合計額が、年110万円の基礎控除を超える場合。

3
相続時精算課税を初めて選択

年110万円以下で申告書が不要でも、選択初年度は期限内に選択届出書を提出します。

4
住宅取得等資金の非課税を利用

贈与税額が0円でも、非課税適用を受けるため期限内申告と添付書類が必要です。

5
贈与税の配偶者控除を利用

婚姻期間20年以上等の要件を満たし、最高2,000万円の控除を受ける場合。

6
期限後でも申告義務がある

本来申告が必要だったのに期限を過ぎた場合は、期限後申告を検討します。

税理士コメント

実務では、「税額が0円だから申告しなくてよい」と判断してしまうケースがあります。 しかし、住宅取得等資金の非課税、配偶者控除、相続時精算課税の特別控除などは、期限内申告や届出が制度適用の前提です。

2.申告不要となる一般的なケース

ケース一般的な取扱い注意点
暦年課税で年間贈与額が110万円以下原則として申告不要複数人からの贈与を合算。名義預金や生前贈与加算は別途確認
選択済みの相続時精算課税で年110万円以下原則として申告不要複数の特定贈与者がいる場合、110万円は按分。初年度の届出は別途必要
扶養義務者から通常必要な生活費・教育費を必要な都度取得非課税となる場合がある一括贈与や余剰資金の預金・投資は別途検討
贈与ではなく預り金・立替金の返済贈与税の対象外となり得る資金の性質を契約・領収書・入出金記録で説明する
年間110万円以下でも、すべての問題がなくなるわけではありません。
贈与の成立、名義預金、相続開始前贈与加算、定期金給付契約、他の贈与者からの取得額を確認します。

3.贈与税の申告期限と納付期限

贈与税申告書は、原則として、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに提出します。 3月15日が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は、その翌日が期限です。

1月1日~12月31日
その年に受けた贈与を集計
翌年1月
評価・必要書類を準備
翌年2月1日
申告受付開始
翌年3月15日
申告・納付期限
所得税の確定申告期間と開始日が異なることがあります。
贈与税は原則として2月1日から受け付けられます。暦や休日により実際の受付日・期限が変わるため、対象年分の国税庁案内を確認します。
贈与税の納付期限も、原則として申告期限と同じです。 e-Taxで申告しただけでは納税は完了しません。ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード、振替以外の各種納付方法を確認します。

4.どこの税務署へ、どのように提出するか

提出先

原則として、贈与を受けた人の納税地を所轄する税務署です。贈与者の住所地ではありません。

e-Tax

確定申告書等作成コーナー等で作成し、電子送信できます。添付書類の一部はPDF送信が可能です。

書面提出

税務署へ持参または送付できます。控えの収受印制度は変更されているため、提出事実の保存方法を確認します。

  • 受贈者の住所地を管轄する税務署を確認
  • マイナンバーと本人確認資料を準備
  • 申告書控え、送信結果、受信通知を保存
  • 郵送の場合は提出期限に間に合う発送方法を確認
  • 特例申告では添付書類の不足がないか確認

5.暦年課税の贈与税申告

暦年課税の基本計算
年間の贈与合計現金・不動産・株式等
基礎控除110万円
×
一般税率・特例税率10%~55%
贈与税額
一般贈与財産

兄弟間、夫婦間、親族以外からの贈与、一定の年齢未満の人が直系尊属から受けた贈与など。

特例贈与財産

贈与年1月1日現在で18歳以上の人が、父母・祖父母等の直系尊属から受けた贈与。

複数人から贈与を受けた場合、基礎控除を贈与者ごとに使うことはできません。
受贈者単位で年間の贈与財産を合算します。一般贈与財産と特例贈与財産が混在する場合は所定の按分計算を行います。

6.相続時精算課税の届出と申告

STEP 1 対象者・年齢・続柄を確認
STEP 2 相続時精算課税選択届出書を作成
STEP 3 戸籍等の添付書類を準備
STEP 4 年110万円超なら贈与税申告書も提出
STEP 5 翌年3月15日までに提出
初年度

相続時精算課税を初めて選ぶ場合、年110万円以下でも相続時精算課税選択届出書を期限内に提出します。

翌年以後

選択済みの特定贈与者からの贈与が年110万円以下で、他に申告要因がなければ、原則として申告不要です。

相続時精算課税選択届出書を期限後に提出しても、原則として適用できません。
一度選択すると、同じ贈与者について暦年課税へ戻ることもできません。

7.住宅取得等資金の非課税を使う申告

令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受け、要件を満たす場合、一定額まで非課税となる特例があります。

期限内申告

贈与税額が0円でも、原則として翌年3月15日までの申告が必要です。

住宅・入居要件

取得・新築・増改築、床面積、耐震・省エネ等、翌年3月15日までの居住または遅滞なく居住する見込み等を確認します。

所得・年齢等

受贈者の年齢、所得、贈与者との関係などの要件を確認します。

主な確認資料
  • 贈与税申告書・非課税の計算明細書
  • 戸籍等、直系尊属との関係を証明する書類
  • 住宅の登記事項、売買契約書・請負契約書
  • 住宅性能を証明する書類(該当する場合)
  • 受贈者の所得要件を確認する資料
  • 居住状況を確認する資料
期限内申告をしなければ、原則として非課税特例を受けられません。
住宅の完成・引渡し・入居が遅れる場合は、修正申告が必要になる場合もあるため、契約時点から期限を管理します。

8.贈与税の配偶者控除を使う申告

婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与し、要件を満たす場合、暦年課税の基礎控除110万円とは別に、最高2,000万円の配偶者控除を受けられることがあります。

控除のイメージ
暦年課税基礎控除110万円
配偶者控除最高2,000万円
最大2,110万円要件を満たす場合
主な添付書類
  • 受贈者の戸籍謄本または抄本
  • 受贈者の戸籍の附票の写し
  • 居住用不動産を取得したことを証する登記事項等
  • 固定資産評価証明書等の評価資料
  • 贈与契約書、資金贈与の場合は振込・売買資料
税額0円でも申告が必要です。
また、相続時の配偶者税額軽減、登録免許税、不動産取得税、将来売却、小規模宅地等の特例との比較が必要です。

9.財産別に準備したい資料

財産主な資料実務上の注意
現金・預金贈与契約書、振込明細、通帳写し複数人からの贈与を合算。名義預金になっていないか確認
土地登記事項、公図、地積測量図、固定資産評価証明書、路線価資料、評価明細書路線価、倍率、各種補正、借地権、賃貸割合を確認
建物登記事項、固定資産評価証明書、賃貸借資料貸家評価、共有持分、建物のみの贈与を確認
上場株式銘柄、株数、証券会社資料、贈与日の価格資料評価方法と贈与日、名義移管を確認
非上場株式決算書、申告書、株主名簿、会社規模・業種資料株価評価、同族株主判定、事業承継税制を確認
生命保険料負担保険証券、保険料支払履歴、契約者・被保険者・受取人保険事故時の課税関係と保険料負担者を確認
暗号資産等取引履歴、ウォレット記録、時価資料贈与時の時価と取得記録を保存
佐々木税務会計事務所 実務メモ

不動産や非上場株式は、申告書を作り始める前に評価を終える必要があります。 特に土地は、評価証明書だけでは贈与税評価を計算できないことがあるため、登記・公図・測量図・賃貸状況を早めに収集します。

10.贈与税申告はe-Taxで提出できるか

申告書の作成

国税庁の確定申告書等作成コーナーで、対応する贈与税申告書を作成できます。

電子送信

マイナンバーカード等を利用してe-Tax送信ができます。

添付書類

一部はPDFで送信可能です。一方、XML形式で送信する書類など、提出方法が定められているものがあります。

申告内容によっては電子申告を利用できない場合があります。
贈与者が多数の住宅取得等資金申告、届出書・第二表が多数、受贈者死亡後の申告など、書面提出が必要となるケースがあります。
  • 申告データの送信結果と受信通知を保存
  • 添付書類の送信・郵送状況を確認
  • 電子申告後に納付手続を別途実行
  • 保存した申告データ・PDFを将来の相続税申告まで保管

11.期限後申告・修正申告・更正の請求

期限後申告

申告義務があるのに期限内申告をしなかった場合。無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。

修正申告

財産の申告漏れや評価誤りで、税額が少なかった場合。追加税額に加算税・延滞税が生じることがあります。

更正の請求

評価誤り等により税額を多く申告した場合。法定期間内に、更正の請求書と根拠資料を提出します。

特例の期限後適用には制限があります。
相続時精算課税選択届出書、住宅取得等資金の非課税、配偶者控除などは、期限内手続が重要です。単に期限後申告をすれば必ず適用できるわけではありません。
贈与税の延納

贈与税は金銭による一括納付が原則です。 ただし、申告による納付税額が10万円を超え、金銭で一時に納付することが困難で、原則として担保を提供する等の要件を満たす場合、5年以内の年賦による延納を申請できることがあります。

延納申請も納期限までに行います。
利子税がかかります。延納税額100万円以下で延納期間3年以下の場合など、担保が不要となる例外があります。

12.ケーススタディ

CASE1 父から100万円の現金贈与

他の贈与がなければ、暦年課税では原則申告不要です。契約書・振込記録・本人管理を残します。

CASE2 父から300万円の現金贈与

暦年課税では110万円を控除した190万円を基に申告します。受贈者の年齢・続柄により税率区分を確認します。

CASE3 相続時精算課税を初めて選び100万円

贈与税申告書は原則不要でも、選択届出書と添付書類を期限内に提出します。

CASE4 相続時精算課税で1,000万円

110万円控除後の890万円について特別控除を利用する申告を行います。

CASE5 住宅資金1,000万円で税額0円

非課税特例の適用には期限内申告と住宅・所得・入居等の要件確認が必要です。

CASE6 配偶者へ自宅持分2,000万円

婚姻期間等の要件を確認し、配偶者控除の期限内申告、登記、不動産取得税等へ対応します。

13.贈与税申告に関するよくある質問

Q1.110万円以下なら必ず申告不要ですか。
暦年課税では原則申告不要ですが、相続時精算課税の初年度、住宅取得等資金や配偶者控除などの特例、他の贈与者からの贈与を確認します。
Q2.贈与税は誰が申告しますか。
原則として贈与を受けた人が申告・納税します。
Q3.どこの税務署へ提出しますか。
原則として、受贈者の納税地を所轄する税務署へ提出します。
Q4.申告期限はいつですか。
原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。休日の場合は翌日となります。
Q5.納付期限も3月15日ですか。
原則として申告期限と同じです。申告と納付は別手続です。
Q6.e-Taxで申告できますか。
多くのケースで可能です。ただし申告内容によって書面提出が必要な場合があります。
Q7.相続時精算課税で100万円なら何も提出しなくてよいですか。
既に選択済みなら原則申告不要ですが、初めて選択する年は選択届出書が必要です。
Q8.住宅取得等資金で税額0円でも申告が必要ですか。
原則として必要です。期限内申告が非課税特例の要件となります。
Q9.配偶者控除で税額0円でも申告が必要ですか。
必要です。戸籍、戸籍附票、登記事項等の添付書類も確認します。
Q10.現金手渡しでも申告できますか。
できますが、贈与日・金額・受領事実を説明する契約書、受領書、出金・入金記録を準備します。
Q11.不動産の贈与税評価は固定資産税評価額ですか。
建物は原則として固定資産税評価額を基礎にしますが、土地は路線価方式または倍率方式等で評価します。
Q12.株式を贈与した場合も申告が必要ですか。
年間贈与額が基礎控除を超える場合等は必要です。上場株式・非上場株式で評価方法が異なります。
Q13.申告を忘れた場合はどうすればよいですか。
速やかに期限後申告を検討します。無申告加算税や延滞税が生じる場合があります。
Q14.少なく申告していた場合はどうしますか。
修正申告を行います。税務署から指摘される前に自主的に対応することが重要です。
Q15.多く申告していた場合はどうしますか。
法定期間内であれば更正の請求を検討します。評価・計算誤りを証明する資料が必要です。
Q16.贈与税は分割払いできますか。
一定の要件を満たす場合、5年以内の延納を申請できることがあります。利子税がかかります。
Q17.贈与契約書は申告書へ必ず添付しますか。
すべての申告で法定添付書類とは限りませんが、贈与の事実を説明する重要資料として保存します。
Q18.申告書は何年保存すればよいですか。
将来の相続税申告で贈与履歴を確認するため、法定期間だけでなく贈与者の相続時まで長期保存することを推奨します。
Q19.税務署から連絡が来る前ならペナルティはありませんか。
自主的な期限後申告・修正申告でも、状況により延滞税や加算税が生じることがあります。
Q20.税理士へ依頼した方がよい申告はありますか。
不動産、非上場株式、相続時精算課税、住宅資金、配偶者控除、複数制度の併用、期限後申告などは専門的判断が多いため、税理士への確認が有用です。

14.保存版|贈与税申告チェックリスト

申告要否
  • 年間の贈与総額を集計した
  • 複数の贈与者からの贈与を合算した
  • 暦年課税・相続時精算課税を確認した
  • 住宅資金・配偶者控除等の特例を確認した
  • 期限内申告が要件か確認した
資料・手続
  • 贈与契約書・振込記録を準備した
  • 戸籍・登記・評価資料を取得した
  • 申告書・届出書・明細書を確認した
  • 添付書類の提出方法を確認した
  • 申告だけでなく納付も完了した
  • 申告書控え・受信通知を保存した

15.関連する生前贈与ページ

申告が必要か、特例を使えるか、必要書類まで確認します

当事務所では、現金・不動産・株式の評価、相続時精算課税、住宅取得等資金、配偶者控除、期限後申告まで一体で対応します。

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監修・更新情報

監修:佐々木税務会計事務所

最終更新:令和8年8月

本ページは一般的な申告手続を説明するものです。実際の申告要否、特例の適用、添付書類、期限は、贈与年分、財産内容、当事者の年齢・関係、過去の届出・申告状況等により異なります。

 
この記事を担当した執筆者
佐々木税務会計事務所 共同代表 佐々木 清子
保有資格税理士・行政書士
専門分野相続税・家族問題・不動産
経歴大手税理士法人において、相続税申告、財産評価、遺産分割、生前対策、相続手続など、数多くの資産税案件に携わった後、佐々木税務会計事務所の共同代表として現在に至ります。 これまで、遺産総額数千万円規模の一般のご家庭から、数百億円規模の資産を有する地主・企業オーナーまで、幅広いお客様の相続・資産承継をサポートしてまいりました。 相続は、ご家族ごとに抱える事情や想いが異なり、同じ案件は一つとしてありません。 そのため私は、税法や制度だけに目を向けるのではなく、お客様一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、ご家族にとって最適な選択肢をご提案することを何より大切にしています。 相続税申告はもちろん、財産評価、遺産分割、生前対策、遺言書の作成、資産承継など、それぞれのご家庭の状況に応じたきめ細やかなサポートを心掛けています。 また、相続手続が完了した後も、ご家族が安心して生活を送れるよう、資産承継後の見守りや財産管理に関するご相談にも継続して対応しております。 相続は、一度きりの手続きではなく、ご家族のこれからの人生につながる大切な節目です。 だからこそ、お客様の不安に寄り添い、一つひとつの疑問を丁寧に解消しながら、安心して未来へ歩んでいただけるよう、誠実にサポートしてまいります。
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