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贈与契約書|書き方・必要性・税務上の注意点と標準書式を税理士が解説

令和8年(2026年)版・実務ガイド
贈与契約書は、
「書類を作ること」より実際に贈与を行うことが重要です

贈与は、贈与者が無償で財産を与える意思を示し、受贈者がこれを受諾することで成立する契約です。 贈与契約書は、その合意内容と契約日を明らかにする重要な資料ですが、契約書だけで税務上の問題がすべて解決するわけではありません。

結論:契約書・財産移転・受贈者による管理・申告を一体で実行します。 現金であれば銀行振込、不動産であれば引渡しと所有権移転登記、上場株式であれば証券口座間の振替を行い、契約内容と実際の財産移転を一致させる必要があります。

1.佐々木税務会計事務所 標準書式|無料ダウンロード

一般的な贈与事案を想定した、佐々木税務会計事務所の標準書式Version 1.0です。 各書式はPDF形式で公開しています。内容をご確認の上、必要に応じて印刷してご利用ください。

SSK-G002
不動産贈与契約書
Version 1.0

一般的な土地・建物の贈与を想定した標準書式です。登記申請には別途、登記申請書その他の資料が必要です。

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SSK-G003
株式贈与契約書(上場株式用)
Version 1.0

証券会社の口座間振替により一般的な上場株式を贈与する場合を想定しています。

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SSK-G004
贈与受領書
Version 1.0

受贈者が贈与財産を受領した事実を確認するための補助書式です。契約書や振込資料と一緒に保存します。

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SSK-G005
贈与管理台帳
Version 1.0

贈与者、受贈者、贈与日、財産、評価額、課税制度、申告状況を年ごとに整理する管理用書式です。

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標準書式をそのまま使うことが適さない場合があります。
未成年者への贈与、判断能力に不安がある人との契約、相続時精算課税、負担付贈与、共有不動産、借地権・底地、農地、賃貸不動産、抵当権付き不動産、非上場株式、自社株、外国財産などは個別の確認が必要です。

2.贈与契約書とは

民法上の贈与は、贈与者が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、受贈者がこれを受諾することによって成立します。 契約書は、当事者間で贈与の合意が成立したこと、贈与財産、契約日、実行方法などを記録する書面です。

贈与契約が成立する基本構造
贈与者無償で与える意思
受贈者受諾する意思
贈与契約合意により成立
書面による贈与契約は、口頭だけの贈与よりも、贈与内容や契約成立時期を説明しやすくなります。 ただし、契約書に記載した財産を実際に移転しなければ、贈与の履行が完了したとはいえません。

3.贈与契約書を作成する理由

1
贈与の合意を明確にする

誰が、誰へ、何を、いつ贈与するのかを明確にします。

2
相続時の説明資料になる

贈与者が亡くなった後、相続人や税務署に贈与の経緯を説明する資料になります。

3
名義預金等の整理に役立つ

現金・預金贈与では、契約書と振込・管理実態を組み合わせて贈与を説明します。

4
財産移転手続の基礎になる

不動産登記や証券会社の口座振替などの手続を行う際の原因関係を明確にします。

5
家族間の認識違いを防ぐ

預けたのか、貸したのか、贈与したのかという後日の争いを防ぎます。

6
贈与履歴を管理できる

複数年の贈与を管理台帳とともに保存し、申告や相続時に確認できます。

契約書があるだけで、必ず贈与として認められるわけではありません。
契約書の内容、銀行振込・登記・株式振替などの履行、受贈者の認識、財産の管理・使用状況、贈与税申告との整合性が確認されます。

4.贈与契約書に記載したい事項

項目主な内容実務上の注意
当事者贈与者・受贈者の住所、氏名本人を特定できる内容にする
贈与財産金額、不動産、株式など第三者が見ても特定できるよう記載
贈与・受諾の意思無償で贈与し、受贈者が受諾する旨一方的な通知書ではなく双方の合意を記録
契約日贈与契約を締結した日後日まとめて過去の日付で作成しない
実行日・方法振込日、引渡日、登記日、振替手続等契約内容と実際の履行を一致させる
費用負担振込手数料、登記費用、移管費用等高額な費用がある場合はあらかじめ明示
署名・押印当事者の署名または記名押印本人の意思確認ができる方法を選ぶ

5.贈与契約から実行・保存までの流れ

STEP 1 贈与者の生活資金・相続税・贈与目的を確認
STEP 2 贈与財産、受贈者、課税制度、実行日を決定
STEP 3 当事者双方が贈与内容を確認し、契約書を作成
STEP 4 振込・引渡し・登記・株式振替を実行
STEP 5 受贈者が財産を管理し、受領書等を作成
STEP 6 贈与税申告・届出の要否を確認
STEP 7 契約書・実行資料・申告書を相続時まで保存

6.現金・預金を贈与する場合

現金贈与で残したい記録
贈与契約書贈与者・受贈者・金額・契約日
銀行振込贈与者口座から受贈者口座へ
管理実態受贈者が自由に管理・使用
申告・保存必要な申告と資料保存
  • 贈与者本人の口座から受贈者本人の口座へ振り込む
  • 契約書の金額と振込額を一致させる
  • 受贈者が通帳・カード・暗証番号等を管理する
  • 他の贈与者から受けた金額を含め年間贈与額を集計する
  • 贈与受領書と贈与管理台帳を必要に応じて利用する

7.不動産を贈与する場合

不動産贈与では、契約書のほか、所有権移転登記、登録免許税、不動産取得税、贈与税評価、相続時の小規模宅地等の特例、将来売却時の譲渡所得を確認します。

契約書で確認する事項
  • 登記記録どおりの不動産表示
  • 所有権移転時期と引渡日
  • 登記手続への協力
  • 登録免許税等の費用負担
  • 抵当権・賃借権等の権利関係
契約書以外に必要な対応
  • 所有権移転登記申請
  • 登記識別情報、印鑑証明書等の準備
  • 贈与税評価と申告
  • 不動産取得税への対応
  • 賃貸中の場合の契約・敷金等の引継ぎ
標準書式だけでは対応しにくい不動産があります。
共有持分、借地権、底地、農地、賃貸不動産、抵当権付き不動産、負担付贈与、境界・権利関係に問題がある不動産は、司法書士・税理士等へ個別に確認してください。

8.上場株式を贈与する場合

上場株式の贈与は、契約書を作成しただけでは証券口座上の株式は移転しません。 利用する証券会社へ必要書類と手続方法を確認し、贈与者口座から受贈者口座への振替手続を行います。

上場株式贈与の基本
契約書銘柄・株数を別紙で特定
証券会社へ申請必要書類を提出
口座間振替手続完了を確認
税務評価贈与日の評価と申告
SSK-G003は一般的な上場株式用です。
非上場株式、自社株、譲渡制限株式、外国株式、信託受益権等は、会社法、定款、株主名簿、承認手続、評価方法が異なるため個別対応が必要です。

9.毎年贈与する場合の契約書

各年に独立した贈与契約を行います
令和8年その年の合意・契約・振込
令和9年その年に改めて判断
令和10年その年の契約を実行
最初から複数年分の贈与を約束する契約書を作らないよう注意します。
「今後10年間、毎年100万円を贈与する」など、将来の複数年分を一括して約束すると、定期金に関する権利の贈与として検討が必要になる場合があります。

毎年同じ金額・同じ日付であることだけを理由に、直ちに定期贈与になるわけではありません。 重要なのは、当初から複数年分の給付を約束していたのか、各年に独立した贈与の合意と履行があるのかという点です。

10.未成年者・判断能力に不安がある場合

未成年者への贈与

年齢・理解力、親権者による法定代理、利益相反、財産管理方法を確認します。標準書式をそのまま使用せず、個別に契約方法を検討してください。

判断能力に不安がある場合

贈与契約時に当事者が契約内容を理解し意思表示できることが必要です。認知症等が疑われる場合は、契約前に弁護士等へ相談してください。

11.税務調査で確認されやすい事項

契約日

実際に合意した日か、後日まとめて作成していないか。

贈与財産

金額・不動産・株式が具体的に特定されているか。

履行記録

振込、登記、証券口座振替が実際に行われたか。

受贈者の認識

受贈者が贈与を知り、受諾していたか。

管理・使用

贈与後の財産を誰が管理し、誰のために使用したか。

申告との整合

契約書、振込記録、評価額、贈与税申告が一致しているか。

佐々木税務会計事務所 実務メモ

贈与契約書は、贈与を説明する重要な資料の一つです。 ただし、契約書だけを作成して財産を移転しなかったり、贈与後も贈与者が自由に管理・使用していたりすると、贈与の実態が問題になります。 契約書・履行資料・管理状況を一つのファイルにまとめて保存することをおすすめします。

12.贈与契約書に関するよくある質問

Q1.贈与契約書がなければ贈与は成立しませんか。
贈与は口頭でも成立し得ます。ただし、書面によらない贈与は履行前に解除できる場合があり、税務・相続実務上も合意内容を説明しにくいため、契約書を作成することをおすすめします。
Q2.贈与契約書に実印は必要ですか。
一般的な現金贈与で実印が法律上必須とは限りません。ただし、不動産登記等では印鑑証明書が必要となるため、手続に応じて使用印を確認します。
Q3.契約書は2通必要ですか。
通常は同一内容の契約書を2通作成し、贈与者・受贈者が各1通を保存します。1通に双方が署名押印して共同保管する方法もありますが、各自保管できる形が実務的です。
Q4.現金贈与契約書に収入印紙は必要ですか。
一般的な現金の贈与契約書は、通常、印紙税法上の課税文書には該当しません。ただし、契約内容に債務引受け等が含まれる場合は個別に確認します。
Q5.不動産贈与契約書に収入印紙は必要ですか。
紙で作成する不動産贈与契約書は、不動産の譲渡に関する契約書として印紙税の対象となることがあります。契約金額の記載方法を含めて確認してください。
Q6.毎年同じ契約書を使えますか。
書式を利用することはできますが、各年に当事者が改めて贈与内容を確認し、その年の契約日・金額・実行日を記載して締結します。
Q7.過去の贈与契約書を今から作れますか。
過去の日付へ遡って契約書を作成することは避けます。過去の事実関係は、当時の振込記録、通帳、申告書等から整理し、現在作成する確認書には実際の作成日を記載します。
Q8.110万円以下なら契約書は不要ですか。
暦年課税で申告不要でも、贈与の合意・実行・管理を説明するため契約書と振込記録を残すことをおすすめします。
Q9.受領書は必ず必要ですか。
必須ではありませんが、現金手渡しや贈与財産の引渡しを補足する資料として有用です。銀行振込等の客観的記録がある場合も、必要に応じて利用できます。
Q10.契約書はいつまで保存しますか。
将来の相続税申告で過去の贈与を確認するため、贈与者の相続時まで長期保存することをおすすめします。
Q11.PDFを編集して使えますか。
公開PDFは内容確認・印刷用です。個別事情に合わせた条項変更が必要な場合は、専門家へご相談ください。
Q12.標準書式を使えば税務署に必ず認められますか。
いいえ。契約書は証拠資料の一つです。実際の財産移転、受贈者の認識・管理、贈与税申告等を含む具体的な事実関係により判断されます。

13.関連する生前贈与ページ

契約書を作る前に、贈与方法と税務上の影響を確認します

当事務所では、贈与契約書の作成だけでなく、贈与税、相続時精算課税、相続開始前贈与加算、名義預金、不動産・株式の評価まで一体で確認します。

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監修・更新情報

標準書式監修:佐々木行政書士事務所

ページ監修:佐々木税務会計事務所

最終更新:令和8年8月

本ページおよび標準書式は、一般的な事案を想定した情報・書式です。 個別の法的効果、税務上の取扱い、登記・証券会社手続を保証するものではありません。 契約当事者、財産、権利関係、課税制度その他の事情に応じ、弁護士、司法書士、税理士等へご相談ください。

 
この記事を担当した執筆者
佐々木税務会計事務所 共同代表 佐々木 清子
保有資格税理士・行政書士
専門分野相続税・家族問題・不動産
経歴大手税理士法人において、相続税申告、財産評価、遺産分割、生前対策、相続手続など、数多くの資産税案件に携わった後、佐々木税務会計事務所の共同代表として現在に至ります。 これまで、遺産総額数千万円規模の一般のご家庭から、数百億円規模の資産を有する地主・企業オーナーまで、幅広いお客様の相続・資産承継をサポートしてまいりました。 相続は、ご家族ごとに抱える事情や想いが異なり、同じ案件は一つとしてありません。 そのため私は、税法や制度だけに目を向けるのではなく、お客様一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、ご家族にとって最適な選択肢をご提案することを何より大切にしています。 相続税申告はもちろん、財産評価、遺産分割、生前対策、遺言書の作成、資産承継など、それぞれのご家庭の状況に応じたきめ細やかなサポートを心掛けています。 また、相続手続が完了した後も、ご家族が安心して生活を送れるよう、資産承継後の見守りや財産管理に関するご相談にも継続して対応しております。 相続は、一度きりの手続きではなく、ご家族のこれからの人生につながる大切な節目です。 だからこそ、お客様の不安に寄り添い、一つひとつの疑問を丁寧に解消しながら、安心して未来へ歩んでいただけるよう、誠実にサポートしてまいります。
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