贈与契約書|書き方・必要性・税務上の注意点と標準書式を税理士が解説
「書類を作ること」より実際に贈与を行うことが重要です
贈与は、贈与者が無償で財産を与える意思を示し、受贈者がこれを受諾することで成立する契約です。 贈与契約書は、その合意内容と契約日を明らかにする重要な資料ですが、契約書だけで税務上の問題がすべて解決するわけではありません。
1.佐々木税務会計事務所 標準書式|無料ダウンロード
一般的な贈与事案を想定した、佐々木税務会計事務所の標準書式Version 1.0です。 各書式はPDF形式で公開しています。内容をご確認の上、必要に応じて印刷してご利用ください。
未成年者への贈与、判断能力に不安がある人との契約、相続時精算課税、負担付贈与、共有不動産、借地権・底地、農地、賃貸不動産、抵当権付き不動産、非上場株式、自社株、外国財産などは個別の確認が必要です。
2.贈与契約書とは
民法上の贈与は、贈与者が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、受贈者がこれを受諾することによって成立します。 契約書は、当事者間で贈与の合意が成立したこと、贈与財産、契約日、実行方法などを記録する書面です。
3.贈与契約書を作成する理由
誰が、誰へ、何を、いつ贈与するのかを明確にします。
贈与者が亡くなった後、相続人や税務署に贈与の経緯を説明する資料になります。
現金・預金贈与では、契約書と振込・管理実態を組み合わせて贈与を説明します。
不動産登記や証券会社の口座振替などの手続を行う際の原因関係を明確にします。
預けたのか、貸したのか、贈与したのかという後日の争いを防ぎます。
複数年の贈与を管理台帳とともに保存し、申告や相続時に確認できます。
契約書の内容、銀行振込・登記・株式振替などの履行、受贈者の認識、財産の管理・使用状況、贈与税申告との整合性が確認されます。
4.贈与契約書に記載したい事項
| 項目 | 主な内容 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 当事者 | 贈与者・受贈者の住所、氏名 | 本人を特定できる内容にする |
| 贈与財産 | 金額、不動産、株式など | 第三者が見ても特定できるよう記載 |
| 贈与・受諾の意思 | 無償で贈与し、受贈者が受諾する旨 | 一方的な通知書ではなく双方の合意を記録 |
| 契約日 | 贈与契約を締結した日 | 後日まとめて過去の日付で作成しない |
| 実行日・方法 | 振込日、引渡日、登記日、振替手続等 | 契約内容と実際の履行を一致させる |
| 費用負担 | 振込手数料、登記費用、移管費用等 | 高額な費用がある場合はあらかじめ明示 |
| 署名・押印 | 当事者の署名または記名押印 | 本人の意思確認ができる方法を選ぶ |
5.贈与契約から実行・保存までの流れ
6.現金・預金を贈与する場合
- 贈与者本人の口座から受贈者本人の口座へ振り込む
- 契約書の金額と振込額を一致させる
- 受贈者が通帳・カード・暗証番号等を管理する
- 他の贈与者から受けた金額を含め年間贈与額を集計する
- 贈与受領書と贈与管理台帳を必要に応じて利用する
7.不動産を贈与する場合
不動産贈与では、契約書のほか、所有権移転登記、登録免許税、不動産取得税、贈与税評価、相続時の小規模宅地等の特例、将来売却時の譲渡所得を確認します。
- 登記記録どおりの不動産表示
- 所有権移転時期と引渡日
- 登記手続への協力
- 登録免許税等の費用負担
- 抵当権・賃借権等の権利関係
- 所有権移転登記申請
- 登記識別情報、印鑑証明書等の準備
- 贈与税評価と申告
- 不動産取得税への対応
- 賃貸中の場合の契約・敷金等の引継ぎ
共有持分、借地権、底地、農地、賃貸不動産、抵当権付き不動産、負担付贈与、境界・権利関係に問題がある不動産は、司法書士・税理士等へ個別に確認してください。
8.上場株式を贈与する場合
上場株式の贈与は、契約書を作成しただけでは証券口座上の株式は移転しません。 利用する証券会社へ必要書類と手続方法を確認し、贈与者口座から受贈者口座への振替手続を行います。
非上場株式、自社株、譲渡制限株式、外国株式、信託受益権等は、会社法、定款、株主名簿、承認手続、評価方法が異なるため個別対応が必要です。
9.毎年贈与する場合の契約書
「今後10年間、毎年100万円を贈与する」など、将来の複数年分を一括して約束すると、定期金に関する権利の贈与として検討が必要になる場合があります。
毎年同じ金額・同じ日付であることだけを理由に、直ちに定期贈与になるわけではありません。 重要なのは、当初から複数年分の給付を約束していたのか、各年に独立した贈与の合意と履行があるのかという点です。
10.未成年者・判断能力に不安がある場合
年齢・理解力、親権者による法定代理、利益相反、財産管理方法を確認します。標準書式をそのまま使用せず、個別に契約方法を検討してください。
贈与契約時に当事者が契約内容を理解し意思表示できることが必要です。認知症等が疑われる場合は、契約前に弁護士等へ相談してください。
11.税務調査で確認されやすい事項
実際に合意した日か、後日まとめて作成していないか。
金額・不動産・株式が具体的に特定されているか。
振込、登記、証券口座振替が実際に行われたか。
受贈者が贈与を知り、受諾していたか。
贈与後の財産を誰が管理し、誰のために使用したか。
契約書、振込記録、評価額、贈与税申告が一致しているか。
12.贈与契約書に関するよくある質問
Q1.贈与契約書がなければ贈与は成立しませんか。
Q2.贈与契約書に実印は必要ですか。
Q3.契約書は2通必要ですか。
Q4.現金贈与契約書に収入印紙は必要ですか。
Q5.不動産贈与契約書に収入印紙は必要ですか。
Q6.毎年同じ契約書を使えますか。
Q7.過去の贈与契約書を今から作れますか。
Q8.110万円以下なら契約書は不要ですか。
Q9.受領書は必ず必要ですか。
Q10.契約書はいつまで保存しますか。
Q11.PDFを編集して使えますか。
Q12.標準書式を使えば税務署に必ず認められますか。
13.関連する生前贈与ページ
当事務所では、贈与契約書の作成だけでなく、贈与税、相続時精算課税、相続開始前贈与加算、名義預金、不動産・株式の評価まで一体で確認します。
生前贈与について相談する 生前贈与を概算比較する監修・更新情報
標準書式監修:佐々木行政書士事務所
ページ監修:佐々木税務会計事務所
最終更新:令和8年8月
本ページおよび標準書式は、一般的な事案を想定した情報・書式です。 個別の法的効果、税務上の取扱い、登記・証券会社手続を保証するものではありません。 契約当事者、財産、権利関係、課税制度その他の事情に応じ、弁護士、司法書士、税理士等へご相談ください。

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贈与契約書は、贈与を説明する重要な資料の一つです。 ただし、契約書だけを作成して財産を移転しなかったり、贈与後も贈与者が自由に管理・使用していたりすると、贈与の実態が問題になります。 契約書・履行資料・管理状況を一つのファイルにまとめて保存することをおすすめします。