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贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)|2,000万円の特例を使うべきか税理士が解説

令和8年(2026年)版・相続設計ガイド
配偶者控除は、
「2,000万円まで贈与税がかからない」だけの制度ではありません

婚姻期間20年以上の夫婦間で、自宅または自宅の取得資金を贈与した場合、一定の要件を満たせば、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円まで贈与税の課税価格から控除できます。 しかし、本当に重要なのは、特例を使えるかではなく、登録免許税や不動産取得税を負担してでも、夫婦全体の相続設計として実行する価値があるかです。

結論:夫婦双方の一次相続・二次相続を同時に試算してから決めます。 贈与税、相続税、土地評価、登録免許税、不動産取得税、将来の売却、他の相続人との財産配分まで比較し、夫婦合計の税負担と財産バランスで判断します。
配偶者控除は「使える制度」ではなく、「使うべきか判断する制度」です。 特例が使えることと、利用した方がご家族に有利であることは同じではありません。

1.30秒で分かる贈与税の配偶者控除

配偶者控除の基本
婚姻期間20年超
贈与する財産国内の居住用不動産または取得資金
居住要件翌年3月15日までに現実に居住し、継続居住見込み
控除額最高2,000万円+基礎控除110万円
贈与税が0円でも、費用が0円とは限りません。
不動産の所有権を移転する場合は、登録免許税、司法書士報酬、不動産取得税などが生じます。配偶者控除を利用するかは、これらの費用を含めて判断します。

2.適用できるかを確認するフローチャート

法律上の婚姻期間が20年を超えていますか
↓ YES
贈与する財産は、国内の居住用不動産またはその取得資金ですか
↓ YES
受贈配偶者が翌年3月15日までに実際に居住しますか
↓ YES
その後も引き続き居住する見込みがありますか
↓ YES
同じ配偶者から過去にこの特例を受けていませんか
↓ YES
期限内に贈与税申告書と必要書類を提出しますか
↓ YES
配偶者控除の適用対象となる可能性があります。
適用できることが確認できた後に、相続設計上の有利・不利を判断します。
適用要件を満たすことはスタート地点です。夫婦双方の資産、一次相続・二次相続、移転費用、財産評価、将来の売却を比較してから実行します。

3.配偶者控除の適用要件

1
婚姻期間20年超

婚姻届を提出した日から贈与日までの期間で判定します。内縁期間は原則として含まれません。「20年以上」ではなく、20年を経過した後の贈与が必要です。

2
国内の居住用不動産等

国内にある居住用家屋、その敷地・借地権、またはこれらを取得するための金銭が対象です。

3
現実の居住

贈与翌年3月15日までに実際に居住し、その後も引き続き居住する見込みが必要です。住民票だけでは足りません。

4
同一配偶者から一度

同じ配偶者からの贈与について、一生に一度だけ利用できます。控除枠を使い切らなくても、原則として再利用できません。

5
贈与税申告が必要

税額が0円でも期限内申告が必要です。自動的に適用される制度ではありません。

「20年目」ではなく、婚姻期間が20年を過ぎた後の贈与です。
婚姻日と贈与日の確認は、戸籍に基づいて行います。

4.土地だけ・建物だけ・持分だけでも対象になりますか

居住用家屋とその敷地を一括して贈与する必要はありません。 要件を満たせば、土地のみ、建物のみ、土地または建物の一部持分、借地権、居住用不動産の取得資金も対象となり得ます。

贈与する財産適用の可能性主な確認事項
土地・建物の全部居住実態、評価額、移転費用、将来の管理
土地のみ夫婦または同居親族が家屋を所有していること等
建物のみ居住用家屋であること、土地権利との整合
土地・建物の共有持分贈与する持分割合、評価額、将来の売却・建替え
敷地の一部居住用家屋の敷地として一体利用される範囲
借地権権利関係、地主との契約、評価
居住用不動産の取得資金実際に取得へ使用し、期限内に居住すること
賃貸用不動産原則×専ら居住用とはいえないため対象外
別荘・セカンドハウス原則×主たる居住用不動産か、現実の居住実態を確認

○・△・×は一般的な整理です。土地のみの贈与、店舗兼住宅、同族会社が関係する不動産等は個別に確認します。

5.配偶者控除を使うべきかは、7つの数字で判断します

総合判断の算式
将来減少する可能性のある税負担夫婦合計の一次相続税・二次相続税
贈与時の負担登録免許税・不動産取得税・登記費用・申告費用
±
将来の影響売却・小規模宅地等・管理・財産配分
結論実行すべきか
①夫の現在財産

不動産、預金、株式、保険、自社株等を時価・相続税評価で整理します。

②妻の現在財産

受贈後に財産が偏り過ぎないか確認します。

③一次相続税

どちらが先に亡くなる場合も試算します。

④二次相続税

配偶者の税額軽減が使えない二次相続まで計算します。

⑤移転費用

登録免許税、不動産取得税、司法書士・税理士費用を見積もります。

⑥不動産評価

路線価、形状、接道、地積、権利関係等を適正に評価します。

⑦将来計画

売却、建替え、介護、施設入居、他の相続人への配分を確認します。

6.夫婦間で資産が偏っている場合の活用

配偶者控除が有効になりやすい代表例は、夫婦の一方に財産が大きく偏り、もう一方の財産が少ない場合です。 自宅の一部を移すことで、贈与者側の将来の相続財産を減らし、夫婦間の財産バランスを調整できる可能性があります。

資産の偏在を調整するイメージ
贈与前妻 3億円夫 3,000万円
自宅持分を贈与評価額・費用・持分を検討
贈与後財産差を縮小一次・二次相続を再試算
実務経験から

当事務所では、夫婦の一方に高額な財産が集中し、もう一方の財産が少ないケースについて、登録免許税や不動産取得税を負担しても、自宅の一部を配偶者へ移す方が、夫婦全体の将来の相続税負担と財産配分の面で合理的と判断し、実行した事例があります。

このような判断は、贈与税だけではできません。双方の財産を一覧化し、どちらが先に亡くなった場合も含め、一次相続・二次相続を比較する必要があります。

一方の財産を基礎控除以内へ収めることだけが目的ではありません。
贈与を受けた配偶者側の財産が増え、二次相続税が増えることがあります。夫婦双方を必ず同時に試算します。

7.同じ2,000万円でも、どの財産を贈与するかで結果が変わります

配偶者控除を不動産に利用する場合、土地や建物の贈与税評価額を適正に算定することが重要です。 現金2,000万円は原則として2,000万円ですが、土地は路線価方式または倍率方式、建物は原則として固定資産税評価額を基礎として評価します。

土地評価の流れ
登記・現況確認地積・利用区分・権利関係
評価方式路線価方式または倍率方式
個別補正奥行・間口・不整形・接道等
適正評価額贈与持分を決定
土地評価で確認する主な事項
  • 正面路線・側方路線・裏面路線
  • 奥行距離・間口距離
  • 不整形地・がけ地
  • セットバック・私道
  • 無道路地・接道状況
  • 地積規模の大きな宅地
  • 借地権・貸宅地等の権利関係
  • 店舗兼住宅等の利用区分
評価で避けるべきこと
  • 控除枠へ合わせるためだけの恣意的な評価
  • 登記地積だけを見て現況を確認しない
  • 利用実態と異なる評価単位を採用する
  • 親族間の不合理な土地分割で評価を下げる
  • 居住部分と賃貸・事業部分を区分しない
税理士の技術は「評価額を低くすること」ではなく、「法令・通達と事実に基づき、適正な評価額を算定すること」です。
適正な評価を行った上で、2,000万円控除をどの土地・建物・持分へ利用するかを設計します。
贈与税評価額と登録免許税・不動産取得税の課税標準は同じとは限りません。
贈与税は相続税評価を基礎としますが、登録免許税・不動産取得税は原則として固定資産税評価額等を基礎とします。贈与税評価を下げても、移転費用が同じ割合で下がるとは限りません。

8.贈与税が0円でも発生する税金・費用

項目贈与時の取扱い実務上の注意
贈与税基礎控除110万円+配偶者控除最高2,000万円控除後も税額が0円とは限らず、申告が必要
登録免許税贈与による所有権移転は原則として固定資産税評価額×2%相続登記の0.4%より高い
不動産取得税贈与でも原則として課税住宅・土地の軽減要件、所在地の都道府県制度を確認
司法書士報酬所有権移転登記等物件数、権利関係、持分により異なる
税理士報酬評価・シミュレーション・贈与税申告土地評価や二次相続試算の範囲により異なる
固定資産税等翌年以後の所有者負担に影響夫婦間の実質負担方法も確認
税率・軽減制度は実行時点で再確認してください。
登録免許税や不動産取得税の制度は改正される可能性があり、不動産所在地によって申告・軽減手続も異なります。

9.一次相続・二次相続を夫婦同時に試算します

相続税では、一次相続の配偶者に「配偶者の税額軽減」があるため、一次相続だけを見れば税負担が小さくなることがあります。 しかし、配偶者へ財産を集中させると、次にその配偶者が亡くなる二次相続で税負担が大きくなる場合があります。

必ず比較する3案
A 何もしない現在の財産構成のまま相続
VS
B 生前贈与する配偶者控除で自宅持分等を移転
VS
C 相続で取得する配偶者の税額軽減等を利用
夫が先に亡くなる場合
  • 夫の相続税
  • 妻の取得財産
  • 配偶者の税額軽減
  • 妻の二次相続税
妻が先に亡くなる場合
  • 妻の相続税
  • 夫の取得財産
  • 贈与された自宅持分の扱い
  • 夫の二次相続税
年齢が高い方だけを贈与者と決め付けないことが重要です。
どちらが先に亡くなるかは確定できません。夫婦双方の相続発生順序を入れ替えて試算します。

10.贈与後まもなく相続が発生した場合

配偶者控除の適用を受けた居住用不動産等のうち、配偶者控除額に相当する部分は、相続開始前の暦年贈与加算の対象となる財産から除かれる特別な取扱いがあります。 そのため、贈与後まもなく贈与者が亡くなった場合でも、要件を満たす控除部分が相続税の課税価格へ加算されないことがあります。

相続開始年の贈与でも、一定の場合に配偶者控除相当部分を相続税へ加算しない取扱いがあります。
ただし、必要な申告手続があり、居住要件、過去の利用歴、贈与財産の内容等を正確に確認する必要があります。
実務経験から

当事務所では、夫婦間の資産偏在を調整するため配偶者控除を利用して自宅の一部を贈与し、その翌年に贈与者の相続が発生した事例を経験しています。 このような場合は、贈与税申告だけでなく、相続開始前贈与加算の特例、相続税申告、財産評価を一体で整理する必要があります。

相続が近いから必ず実行すべきという意味ではありません。
意思能力、贈与の実行、登記費用、居住要件、家族関係、遺留分、将来の管理まで慎重に確認します。

11.配偶者控除が有効になり得る代表的な利用類型

資産が一方へ集中

高額資産を持つ配偶者から、財産の少ない配偶者へ自宅持分等を移し、夫婦の資産差を縮小します。

基礎控除付近へ調整

贈与者側の相続財産を適正に減らすことで、将来の課税遺産額や申告要否が変わる可能性があります。

二次相続対策

一次相続・二次相続の合計税額を比較し、財産の集中を避けます。

配偶者の居住確保

長年連れ添った配偶者へ自宅の所有権を移し、固有財産と居住基盤を確保します。

土地持分の調整

土地評価を適正に行い、2,000万円相当の持分を算定します。

取得資金の贈与

新居・買替え住宅の取得資金を贈与し、期限内に取得・居住します。

遺産分割への備え

配偶者の固有財産を生前に確保し、相続時の財産配分を整理します。

土地だけを贈与

家屋所有関係や敷地要件を確認し、土地または持分のみを移転します。

12.配偶者控除を使わない方がよい可能性があるケース

移転費用が効果を上回る

相続税の減少額が小さく、登録免許税・不動産取得税・専門家費用の方が大きい場合です。

受贈配偶者にも高額財産がある

二次相続の財産をさらに増やし、合計税額が増える可能性があります。

近く売却・建替え予定

共有化により意思決定や売却手続が複雑になる場合があります。

小規模宅地等で十分

相続時の特例を利用した方が、移転費用を抑えられる場合があります。

居住実態が不明確

施設入居、別居、建築中、賃貸併用等で要件確認が難しい場合です。

家族関係・遺留分に問題

他の相続人との公平、特別受益、遺留分、介護負担等を確認する必要があります。

13.○・△・×で見る具体例

事例目安確認事項
婚姻25年。現在住む自宅の土地建物持分を配偶者へ贈与評価・移転費用・夫婦双方の相続税を確認
自宅土地のみを贈与し、家屋は夫または妻が所有土地のみ適用の所有関係要件を確認
自宅土地の2,000万円相当持分だけを贈与適正評価、持分計算、将来の共有リスクを確認
店舗兼住宅を贈与居住部分と事業部分の区分、居住割合を確認
贈与後すぐ老人ホームへ永久入居予定△~×継続居住見込みがあるか慎重に確認
住民票だけ移し、実際は別の自宅で生活×居住実態がなく、否認・加算税リスク
賃貸アパートを配偶者へ贈与×居住用不動産ではない
住宅ローンの返済資金を贈与△~×「取得資金」と既存債務返済は同じではない
現金を贈与したが住宅を購入しなかった×居住用不動産取得資金としての要件を満たさない

○・△・×は一般的な確認の目安です。個別の法的結論を保証するものではありません。

14.法令・公表裁決から学ぶ否認・失敗事例

公表裁決

仮住まいの不動産を居住用財産に見せかけた事例

国税不服審判所の公表裁決では、居宅新築までの仮住まいとして利用していた土地・家屋について、主たる居住用財産であるように住民登録を行い、配偶者控除の適用を受けようとした事案が紹介されています。

電気使用量等から仮住まいであることが認定され、配偶者控除は認められませんでした。また、実際の居住と異なる住民登録により要件を満たすよう仮装した行為について、重加算税の対象と判断されています。

失敗の核心
住民票の所在地ではなく、日常生活の状況、電気・水道使用量、家財、滞在状況等を含む現実の居住実態で判断されます。
実務上の失敗

贈与税0円だけを見て、移転費用を試算しなかった

配偶者控除により贈与税が生じなくても、登録免許税、不動産取得税、専門家費用が発生します。 将来減少する相続税がこれらの費用を下回る場合、税負担だけを見れば実行しない方が合理的なことがあります。

実務上の失敗

一次相続だけを見て、二次相続を計算しなかった

一方の財産を減らせても、受贈配偶者の財産が増え、二次相続税が大きくなる場合があります。 配偶者控除は夫婦双方の相続順序を入れ替えて試算します。

15.税務署はここを確認します

婚姻期間

戸籍上20年を超えているか。

過去の適用

同じ配偶者から過去に利用していないか。

居住用財産

自宅として利用されているか。

居住実態

住民票だけでなく、現実に生活しているか。

継続居住見込み

贈与直後の売却・転居・施設入居予定はないか。

不動産の範囲

店舗・賃貸・事業部分を適切に区分したか。

財産評価

路線価、評価単位、補正率、持分計算は適正か。

取得資金

実際に期限内の居住用不動産取得へ充てたか。

申告書類

戸籍、戸籍附票、不動産取得資料等を期限内提出したか。

16.税理士が確認する相続設計のポイント

夫婦双方の財産

一方だけでなく、双方の財産目録を作成します。

死亡順序2パターン

夫先行・妻先行の両方を試算します。

土地評価

現地・公図・測量図・登記・利用状況から適正評価します。

移転する財産

現金、土地、建物、持分のどれが適切か比較します。

移転費用

税・登記・申告費用を見積もります。

将来の利用

居住、売却、建替え、介護、施設入居を確認します。

他の相続人

遺留分、公平性、家族関係を確認します。

他制度との比較

相続で取得、小規模宅地等、遺言、配偶者居住権等と比較します。

17.15項目セルフチェック

このチェックは、適用や有利性を保証するものではありません。 制度要件と相続設計上の確認漏れを防ぐための目安です。

  • 法律上の婚姻期間が20年を超えている
  • 同じ配偶者から過去に特例を受けていない
  • 国内の居住用不動産または取得資金である
  • 翌年3月15日までに現実に居住する
  • その後も継続居住する見込みがある
  • 期限内に贈与税申告を行う
  • 土地・建物・持分を適正評価した
  • 夫婦双方の財産目録を作成した
  • 一次相続・二次相続を試算した
  • 夫先行・妻先行の両方を試算した
  • 登録免許税を見積もった
  • 不動産取得税を確認した
  • 将来の売却・建替え予定を確認した
  • 小規模宅地等との比較を行った
  • 他の相続人への影響を確認した
13~15項目:制度要件と総合判断の準備が進んでいます。最終評価と申告手続を確認してください。
9~12項目:費用、土地評価、二次相続、将来計画の再確認が必要です。
8項目以下:「2,000万円控除」だけで実行せず、夫婦同時の相続税シミュレーションを行ってください。

18.実行から申告までの流れ

STEP 1 夫婦双方の財産資料を収集
STEP 2 一次相続・二次相続を複数案で試算
STEP 3 土地・建物の評価と贈与持分を決定
STEP 4 登録免許税・不動産取得税等を見積り
STEP 5 贈与契約書を作成
STEP 6 所有権移転登記または住宅取得を実行
STEP 7 受贈配偶者が現実に居住
STEP 8 翌年2月1日から3月15日までに贈与税申告
STEP 9 契約書・評価資料・申告書・登記資料を長期保存

主な申告添付書類

  • 贈与日から10日を経過した日以後に作成された受贈者の戸籍謄本または抄本
  • 贈与日から10日を経過した日以後に作成された戸籍附票の写し
  • 受贈者が居住用不動産を取得したことを証する登記事項証明書等
  • 財産評価に必要な固定資産税評価証明書、路線価図、登記資料等
  • 取得資金贈与の場合は、売買契約書、領収書、登記資料等
税額が0円でも申告しなければ特例を受けられません。
必ず申告期限と添付書類を確認してください。

19.贈与税の配偶者控除に関するよくある質問

Q1.2,110万円までなら何を贈与しても税金はかかりませんか。
いいえ。対象は国内の居住用不動産またはその取得資金です。預金を自由に使うための贈与、賃貸物件、株式等には適用できません。
Q2.婚姻期間20年ちょうどで使えますか。
法律上の婚姻期間が20年を過ぎた後の贈与が必要です。戸籍上の婚姻日と贈与日を確認します。
Q3.土地だけの贈与でも適用できますか。
一定の要件を満たせば適用できます。夫または妻が居住用家屋を所有している場合、あるいは受贈配偶者と同居する親族が家屋を所有している場合など、所有関係を確認します。
Q4.建物だけの贈与でも適用できますか。
居住用家屋であり、居住要件等を満たせば対象となり得ます。土地の権利関係も確認してください。
Q5.自宅の持分だけでも使えますか。
利用できます。適正な財産評価に基づいて、贈与する持分割合を算定します。
Q6.賃貸併用住宅や店舗兼住宅はどうなりますか。
原則として居住用部分が対象です。居住部分と事業・賃貸部分を区分し、通達上の取扱いを確認します。
Q7.別荘でも使えますか。
通常は対象になりません。主たる居住用不動産として現実に居住しているかが重要です。
Q8.住民票を移せば適用できますか。
住民票だけでは足りません。電気・水道、家財、生活実態等から現実の居住が確認されます。
Q9.贈与後に老人ホームへ入居しても大丈夫ですか。
贈与時点で継続居住見込みがあったか、入居事情、一時的か恒久的かなどを個別に検討します。あらかじめ永久入居が決まっている場合は慎重な判断が必要です。
Q10.贈与した年または翌年に配偶者が亡くなった場合はどうなりますか。
一定の要件を満たす配偶者控除相当部分は、相続税の課税価格へ加算しない取扱いがあります。贈与税申告・相続税申告を一体で確認してください。
Q11.相続開始前7年以内の贈与加算の対象になりますか。
配偶者控除の適用を受けた金額に相当する特定贈与財産は、相続税の課税価格へ加算しない取扱いがあります。控除を超える部分や他の贈与は別途確認します。
Q12.相続で自宅を取得する方が有利ではありませんか。
相続登記の登録免許税、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例等を利用できるため、相続の方が有利なケースもあります。贈与と相続を比較して決めます。
Q13.登録免許税はいくらですか。
贈与による所有権移転登記は、原則として固定資産税評価額の2%です。物件・時期・登記内容により確認してください。
Q14.不動産取得税はかかりますか。
贈与による不動産取得も原則として課税対象です。住宅・土地の軽減が適用できる場合があるため、所在地の都道府県税事務所へ確認します。
Q15.相続税評価額を2,000万円に合わせればよいですか。
先に適正な財産評価を行い、その評価額に基づいて持分を決めます。控除枠へ合わせるために恣意的な評価を行うことはできません。
Q16.現金を贈与して住宅ローン返済へ使えますか。
居住用不動産の「取得資金」と、既に取得した住宅のローン返済資金は同一ではありません。配偶者控除の対象となるかは慎重に確認してください。
Q17.一度に2,000万円を使い切らなかった場合、残額を後年使えますか。
同じ配偶者からの贈与については一生に一度です。残額を後年利用することは原則としてできません。
Q18.贈与契約書は必要ですか。
贈与の合意、財産、日付、移転時期を明確にするため作成をおすすめします。不動産登記の原因証明資料との整合も確認します。
Q19.夫婦どちらからどちらへ贈与すべきですか。
財産額だけでなく、年齢、健康、相続人、一次・二次相続、将来取得する財産を踏まえ、両方向を試算します。
Q20.本当に節税になりますか。
必ず節税になる制度ではありません。相続税の減少額が移転費用を上回るか、二次相続を含めて総合判断します。

20.当事務所の考え方

制度は目的ではありません。 ご夫婦にとって適切な相続設計を実現するための手段です。

佐々木税務会計事務所では、「2,000万円まで贈与税がかからないから利用しましょう」というご案内は行いません。 まず夫婦双方の財産を整理し、一次相続・二次相続、土地評価、登録免許税、不動産取得税、将来の売却、他の相続人への影響を比較します。

その上で、費用を負担してでも利用する価値がある場合には、贈与する財産・持分・時期を具体的に設計します。 一方、相続時の制度を利用する方が合理的であれば、配偶者控除を使わない選択もご提案します。

税理士コメント

配偶者控除で最も大切なのは、贈与税を0円にすることではありません。 夫婦双方の生涯を通じた税負担と、財産の持ち方を整えることです。 特例が使えるから利用するのではなく、利用した方が本当に有利かを判断することが、相続専門税理士の役割だと考えています。

21.関連する生前贈与・相続ページ

夫婦双方の相続税を同時に試算してから、配偶者控除を判断します

当事務所では、贈与税だけでなく、土地評価、登録免許税、不動産取得税、一次相続・二次相続まで含めて比較します。 自宅のどの部分を、どの持分で、いつ贈与すべきかを具体的に設計します。

配偶者控除を使うべきか相談する 生前贈与を概算比較する

22.根拠法令・参考資料

  • 相続税法第21条の6(贈与税の配偶者控除)
  • 相続税法第19条(相続開始前贈与の加算)
  • 相続税法基本通達21の6-1以下
  • 相続税法基本通達19-8、19-9
  • 国税庁 タックスアンサー No.4452
  • 国税庁 タックスアンサー No.4455
  • 国税庁 質疑応答事例(居住用不動産の範囲、居住時期、低額譲受け等)
  • 国税庁 タックスアンサー No.7191(登録免許税)
  • 財産評価基本通達
  • 国税不服審判所 公表裁決事例(配偶者控除)

法令・税率・地方税の軽減制度は、実行時点の最新情報を確認してください。 本ページは一般的な制度・実務の解説であり、個別の適用・税額・法的効果を保証するものではありません。

監修・更新情報

監修:佐々木税務会計事務所

最終更新:令和8年8月

 
この記事を担当した執筆者
佐々木税務会計事務所 共同代表 佐々木 清子
保有資格税理士・行政書士
専門分野相続税・家族問題・不動産
経歴大手税理士法人において、相続税申告、財産評価、遺産分割、生前対策、相続手続など、数多くの資産税案件に携わった後、佐々木税務会計事務所の共同代表として現在に至ります。 これまで、遺産総額数千万円規模の一般のご家庭から、数百億円規模の資産を有する地主・企業オーナーまで、幅広いお客様の相続・資産承継をサポートしてまいりました。 相続は、ご家族ごとに抱える事情や想いが異なり、同じ案件は一つとしてありません。 そのため私は、税法や制度だけに目を向けるのではなく、お客様一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、ご家族にとって最適な選択肢をご提案することを何より大切にしています。 相続税申告はもちろん、財産評価、遺産分割、生前対策、遺言書の作成、資産承継など、それぞれのご家庭の状況に応じたきめ細やかなサポートを心掛けています。 また、相続手続が完了した後も、ご家族が安心して生活を送れるよう、資産承継後の見守りや財産管理に関するご相談にも継続して対応しております。 相続は、一度きりの手続きではなく、ご家族のこれからの人生につながる大切な節目です。 だからこそ、お客様の不安に寄り添い、一つひとつの疑問を丁寧に解消しながら、安心して未来へ歩んでいただけるよう、誠実にサポートしてまいります。
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