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相続財産を把握し、評価する|財産調査から相続税評価まで

相続発生後の財産調査・相続税評価

相続財産を把握し、評価する

相続税の計算は、いきなり税率を掛けるところから始まりません。まず、被相続人にどのような財産・債務があったのかを、入手できる資料や情報から丁寧に確認し、その中から相続税の対象となるものを判定し、相続税上の価額に置き換える必要があります。

STEP 1 探す財産・債務・生前の資金移動を把握する
STEP 2 判定する相続税の課税対象に含めるかを確認する
STEP 3 評価する財産ごとの相続税評価額を算定する
30秒で結論

相続税申告で最初に大切なのは「財産をいくらと評価するか」より前に、「何を評価すべきか、合理的な範囲で財産の全体像を把握すること」です。 財産調査 → 課税対象の判定 → 評価という順番で進めます。

OVERVIEW

まず、財産調査と評価の全体像をご確認ください

財産調査は「すべての財産を必ず発見すること」を保証する業務ではありません。ご家族から伺う情報、被相続人の通帳・郵便物・契約書・申告書などの資料、金融機関等から取得できる資料をもとに、手掛かりを整理し、必要性に応じて確認範囲を広げていきます。

相続財産を把握し評価する流れ、財産調査で困りやすいこと、見落としやすい相続財産、合理的な調査範囲、財産調査サポートをまとめた図解
図解|相続財産の把握・課税判定・評価と財産調査の考え方(タップ・クリックで拡大)

INVESTIGATION SCOPE

すべての財産を「完全に把握する」ことは現実にはできません

被相続人が生涯に利用したすべての金融機関、遠隔地の古い休眠口座、存在自体が分からない海外資産、契約の手掛かりがない貸金庫内の財産などを、無制限に探索することは現実的ではありません。大切なのは、入手できる情報と手掛かりを整理し、重要性・必要性に応じて合理的な範囲で調査を進めることです。

まず確認する範囲

ご家族からの聞き取り、通帳・郵便物・契約書・確定申告書・固定資産税資料・保険資料など、通常入手できる資料から財産と債務の候補を整理します。

手掛かりがあれば追加確認

証券会社への送金、海外送金、貸金庫利用料、家族口座への大口送金など、別の財産の存在をうかがわせる事情があれば、必要に応じて追加調査を検討します。

調査範囲は案件ごとに異なります

財産規模、被相続人の生活歴・職歴、保有資料、申告履歴、金融取引、海外との関係などにより、確認すべき範囲や優先順位は変わります。

財産の存在を保証するものではありません

合理的な調査を尽くしても、手掛かりのない財産まで必ず把握できるとは限りません。当事務所では、確認した資料・調査事項・追加確認事項を整理しながら進めます。

税理士の調査義務についての裁判例
東京高裁平成27年11月19日判決では、税理士が相続財産について調査義務を負うか、その範囲は、相続税申告手続に関する委任契約の解釈によって決まると判断されています。財産調査を依頼する場合も、調査対象・方法・受任範囲を明確にすることが重要です。
判決の紹介(新日本法規)を見る →

THREE STEPS

財産の確認は「探す・判定する・評価する」の3段階です

相続財産の一覧を作っただけでは、相続税申告の準備は終わりません。名義だけでは判断できない財産、生前の資金移動、みなし相続財産、債務なども含めて整理した後、税務上の評価へ進みます。

1

財産・債務を把握する

通帳、証券、固定資産税資料、保険関係書類、借入資料、郵便物、確定申告書などから、財産と債務の全体像を確認します。

2

課税対象か判定する

相続財産そのものだけでなく、死亡保険金などの取扱い、生前贈与、家族名義財産など、相続税の対象に含めるべきものを整理します。

3

相続税評価額を算定する

土地、建物、株式、預貯金、非上場株式など、財産の種類ごとの評価方法により、申告で使用する価額を算定します。

この順番が重要です。 評価方法だけを詳しく調べても、そもそも重要な財産を把握できていなければ、申告額に影響する可能性があります。

ASSET INVESTIGATION

まず「何があるのか」を確認します

ご家族が財産をすべて把握しているとは限りません。被相続人が管理していた資料だけでなく、収入・支出・資産形成の流れも確認し、財産と債務の候補を洗い出します。

まず確認する資料

手元資料から財産の入口を探す

  • 預貯金通帳・キャッシュカード・金融機関からの郵便物
  • 証券会社・信託銀行・配当関係の書類
  • 固定資産税納税通知書・課税明細書・権利証等
  • 生命保険証券・保険会社からの通知
  • 確定申告書・青色申告決算書・収支内訳書
  • 借入金返済予定表・ローン関係書類
  • 貸金庫、貴金属、車両、会員権等の資料
「通帳に載っている残高」だけで財産調査を終えないことが重要です。 被相続人本人名義の財産だけを並べると、家族名義財産や生前の資金移動、未収金、継続中の保険契約などを見落とすことがあります。

BY ASSET TYPE

財産の種類ごとに確認するポイントが違います

財産軸から確認できるよう、主要な資産ごとに調査と評価の入口を整理します。詳しい評価方法は各専門ページで解説します。

※上記リンクは2026年8月8日時点の最新サイトマップに掲載されている現行URLです。財産別ページは現時点では旧URLで公開されているものがあるため、将来予定URLへ先回りせず、実在する公開URLを使用しています。

DOCUMENTS

財産一覧は「金額」だけでなく「根拠資料」までセットで作ります

申告書に記載する金額だけを一覧にするのではなく、何を確認し、どの資料を根拠にその金額を使ったかを整理しておくことが重要です。

〖相続財産別〗相続税の申告に必要な書類一覧では、財産の種類ごとに必要資料を詳しく確認できます。

財産・債務主な確認事項主な資料例
預貯金金融機関・支店・口座・残高・資金移動通帳、残高証明、取引履歴
不動産所在地・持分・面積・利用状況・権利関係登記事項、固定資産税課税明細、賃貸借契約等
上場株式等銘柄・数量・保有先・価格証券会社残高資料、取引報告書等
非上場株式株数・株主・会社規模・決算内容株主名簿、決算書、法人税申告書等
生命保険契約関係・保険料負担・保険事故・受取人保険証券、支払通知、契約内容資料等
債務相続開始日時点の残額・負担者・債務の実在性残高証明、返済予定表、請求書等
生前の資金移動贈与・生活費・貸付・立替・財産購入等の使途通帳、振込記録、契約書、領収書等

TAXABLE OR NOT

次に「相続税の対象になる財産」を判定します

相続税の対象は、被相続人名義の財産だけとは限りません。一方で、財産として存在していても相続税上の取扱いを個別に確認するものがあります。この判定は子ページで詳しく整理します。

本来の相続財産

被相続人が所有していた財産

預貯金、不動産、株式、貸付金など、相続・遺贈により取得する財産を確認します。

税務上の確認が必要

死亡保険金・生前贈与等

民法上の遺産と相続税の課税対象は一致しないことがあるため、税務上の取扱いを別に判定します。

名義と実質

家族名義の財産

名義だけで判断せず、資金の原資、管理、収益の帰属、贈与の事実などを確認します。

PRACTICAL FLOW

相続税申告までの実務フロー

相続発生後の全体スケジュールは 相続が発生した方へ、相続税申告全体の判断は 相続税で困ったら最初に読むページ で確認できます。

相続人・遺言の確認

誰が相続人になるのか、遺言書があるのかを確認します。

財産・債務の候補を洗い出す

手元資料、郵便物、申告書、金融・不動産・保険関係資料等から全体像を作ります。

必要な照会・資料取得を進める

金融機関、証券会社、保険会社、不動産関係資料など、必要な証明資料をそろえます。

家族名義財産・生前の資金移動を確認する

名義だけでは判断せず、原資、管理、使途、贈与の実態などを確認します。

課税対象財産と債務を判定する

相続税の計算に含める財産・債務等を整理します。

財産別の相続税評価を行う

土地、株式、預貯金、非上場株式など、財産ごとの評価方法を適用します。

財産一覧・評価資料をまとめる

評価額と根拠資料を紐づけ、遺産分割・相続税計算へ進める状態にします。

OUR APPROACH

当事務所は「評価する前の財産調査」を重視します

相続税申告では、見つかった財産を計算するだけではなく、財産の確認範囲を適切に設定し、重要な手掛かりを見落とさない工程が重要です。当事務所では、相続人関係の確認とあわせ、資料の整理・財産調査・評価まで一連の流れとして検討します。

申告書を作る前に、確認過程を組み立てます

  • 預貯金・証券・保険・不動産について確認すべき範囲
  • 死亡前の大口出金・資金移動
  • 家族名義の預貯金・証券・保険
  • 生前贈与の有無と記録
  • 不動産の現況・利用状況・権利関係
  • 借入金・未払金等の債務

財産が分からない場合も整理します

「どこの銀行を使っていたか分からない」「不動産が何件あるか分からない」「証券や保険の資料が見つからない」といった状態から、必要資料と確認手順を整理します。

財産を全部把握できてから相談する必要はありません。

遺産整理業務の内容と流れを見る →
相続手続き丸ごとサポートを見る →

SELF CHECK

財産調査のセルフチェック

未確認項目が多い場合は、相続税の試算より先に財産調査を進めた方がよいことがあります。

FAQ

相続財産の調査・評価でよくある質問

すべての相続財産を完全に調べてもらえますか?
財産の存在を100%保証することはできません。手掛かりのない古い休眠口座、把握されていない海外資産、存在自体が確認できない貸金庫内の財産などは、合理的な調査を行っても発見できない場合があります。当事務所では、入手できる資料・情報から確認事項を整理し、手掛かりや重要性に応じて調査範囲を検討します。
財産調査はどこまで行えばよいのでしょうか?
一律に全国・全世界の金融機関等を照会するのではなく、ご家族からの情報、通帳、郵便物、確定申告書、契約書、送金記録などから得られる手掛かりを基礎に、財産規模や重要性も踏まえて追加確認の必要性を判断します。案件ごとに合理的な調査範囲を設定することが実務上重要です。
親の財産がほとんど分かりません。何から始めればよいですか?
まず、通帳、郵便物、固定資産税資料、証券・保険関係書類、確定申告書など、手元にある資料から利用していた金融機関や保有資産の候補を洗い出します。その後、必要な残高資料や証明資料を取得し、財産一覧を作っていきます。
相続財産は死亡日時点の残高だけ確認すればよいですか?
死亡日時点の残高は重要ですが、それだけで十分とは限りません。死亡前の大口出金、家族名義財産、生前贈与、未収金、継続中の保険契約など、個別事情に応じた確認が必要です。
家族名義の預金も確認する必要がありますか?
名義だけで相続税の対象外と判断することはできません。資金を誰が負担したか、誰が管理していたか、贈与が成立していたかなど、実態を確認する必要があります。
不動産は固定資産税評価額をそのまま使いますか?
財産の種類や土地・建物の別などにより評価方法が異なります。固定資産税評価額を利用する場面もありますが、すべての不動産を固定資産税評価額だけで相続税評価するわけではありません。個別の評価ページで確認します。
財産調査と遺産分割はどちらを先に進めますか?
原則として、分割対象となる財産・債務と概算評価を把握してから分割案を検討する方が安全です。相続税、納税資金、不動産の管理・売却、二次相続なども分割内容に影響するためです。
相続税がかからなそうでも財産調査は必要ですか?
相続放棄の検討、遺産分割、名義変更、債務確認などのためにも財産把握は重要です。また、財産の漏れや評価内容によっては当初の見込みと異なることもあります。

財産が全部分からなくても、調査の整理から始められます

相続税申告では、財産を「評価すること」だけでなく「何を評価すべきかを把握すること」が重要です。預貯金、不動産、株式、保険、家族名義財産、生前の資金移動など、確認すべき範囲から整理します。相続全般をまとめて相談したい方は 相続ワンストップ相談 もご覧ください。

 
この記事を担当した執筆者
佐々木税務会計事務所 共同代表 佐々木謙
保有資格
専門分野相続・贈与・不動産・法人経営
経歴経営コンサルティング会社において約10年間、企業経営や事業承継に関するコンサルティング業務に従事。その後、法律事務所にて約5年間、相続・資産承継に関する実務を経験し、大手税理士法人では約10年間にわたり、相続税申告、財産評価、事業承継、生前対策など資産税業務を専門に担当しました。 これまで培ってきた税務・法務・経営コンサルティングの知見を活かし、一般のご家庭から地主・企業オーナーまで、幅広いお客様の相続・資産承継をサポートしています。 現在は佐々木税務会計事務所の共同代表として、「創族(そうぞく)」を理念に掲げ、相続税申告にとどまらず、生前対策、遺言書作成、家族信託、事業承継など、ご家族の未来を見据えた総合的な相続サポートに取り組んでいます。 相続は税金だけの問題ではなく、ご家族の人生に関わる大切な節目です。税務・法務・経営、それぞれの視点から最適な解決策をご提案し、お客様が安心して未来へ歩んでいただけるよう、分かりやすく実践的な情報発信にも力を入れています。
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