令和8年度税制改正
相続・贈与・不動産・事業承継で何が変わった?
令和8年度税制改正は非常に広範囲です。このページでは、当事務所の主な業務である相続・生前贈与・不動産・資産承継に関係する改正に絞り、「誰に関係するのか」「いつからか」「今何を確認すべきか」を整理します。
特に重要なのは、①一定の貸付用不動産の相続税等の評価見直し、②教育資金一括贈与の非課税措置の終了、③事業承継税制の計画提出期限延長です。
なかでも貸付用不動産は、令和9年1月1日以後に相続等で取得する財産の評価から適用するとする見直しが財務省の令和8年度税制改正大綱で示されています。具体的な評価実務は、国税庁が今後公表する財産評価基本通達等も確認する必要があります。
2026年8月9日現在の情報の位置付け
財務省の令和8年度税制改正大綱では、課税時期前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産等について評価方法を見直す方針と、令和9年1月1日以後の相続等から適用する旨が示されています。一方、大綱には「当該改正を通達に定める日」を基準とする経過措置も記載されています。したがって、具体的な評価方法・対象範囲は、今後の国税庁の通達等を確認して確定的に判断します。
※本ページでは、成立済みの法律・期限延長等と、財務省大綱で示され今後の通達整備を要する財産評価の見直しを区別して記載しています。
当サイトで押さえたい改正
1貸付用不動産の相続税等の評価見直し
令和8年度税制改正大綱では、相続税法の時価主義の下、貸付用不動産の市場価格と相続税評価額の乖離を踏まえ、一定の貸付用不動産について評価方法を見直す方針が示されました。
対象として示されたもの
被相続人等が課税時期前5年以内に、対価を伴う取引により取得または新築した一定の貸付用不動産です。
評価の考え方
大綱では、原則として課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する方針が示されています。
いわゆる「80%」の意味
財務省大綱では、通常の取引価額相当額について、課税上の弊害がない限り、取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%相当額によって評価できることとする方針が示されています。
通常の取引価額相当額が原則であり、80%は大綱に示された簡便的な評価の位置付けです。最終的な計算方法は国税庁の通達等を確認します。
不動産小口化商品等
一定の不動産特定共同事業契約または信託受益権に係る金融商品取引契約の目的となる貸付用不動産については、取得時期にかかわらず通常の取引価額相当額で評価する方針が示されています。
適用時期
ただし、自己所有地に新築した貸付用家屋について、「改正を通達に定める日」までの建築状況等に応じた経過措置が示されています。
国税庁の「財産評価 一部改正通達」一覧では、令和8年5月25日付までの改正が掲載されていますが、本改正に対応する貸付用不動産の新たな通達は確認できません。そのため、現段階では大綱の内容を基礎にしつつ、通達公表後に本文を再更新するのが安全です。
- 直近5年以内に収益不動産を購入した
- 相続対策として収益不動産の購入を検討している
- 自己所有地に賃貸建物を新築した・新築予定である
- 不動産小口化商品や一定の信託受益権を保有している
2教育資金1,500万円の一括贈与|新規利用は終了
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税非課税措置は、令和8年3月31日までとされていた適用期限が延長されず、令和8年4月1日以後は新たに適用を受けることができなくなりました。
祖父母が孫の学費を負担すると、すべて贈与税がかかる?
いいえ。一括贈与制度の終了と、扶養義務者相互間で通常必要と認められる教育費を必要な都度、直接その費用に充てるために贈与する場合の非課税取扱いは別です。
3事業承継税制|計画提出期限を延長
法人版
非上場株式等の納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限を1年6か月延長する改正です。
個人版
個人の事業用資産に係る納税猶予制度について、個人事業承継計画の提出期限を2年6か月延長する改正です。
延長後は、法人版は令和9年9月30日、個人版は令和10年9月30日となる計算です。実際の申請に当たっては、中小企業庁・都道府県等の最新案内で確認してください。
計画提出期限が延びても、特例措置そのものの適用期限、後継者要件、認定要件、納税猶予後の継続要件等は別に確認する必要があります。
4土地・住宅に関係する改正
土地売買の登録免許税軽減
土地の売買による所有権移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限が3年間延長されました。
住宅ローン控除
住宅ローン控除は適用期限を令和12年12月31日まで5年間延長し、住宅性能等に応じた借入限度額などの見直しが行われています。
5少額減価償却資産|40万円未満へ引上げ
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例は、対象となる減価償却資産の取得価額を30万円未満から40万円未満へ引き上げ、適用期限を3年間延長する改正です。
中小企業者等の範囲、青色申告、損金経理、年間合計額の上限等、既存の適用要件を確認する必要があります。また、対象法人について常時使用する従業員数400人超を除外する見直しも示されています。
「令和8年度税制改正」と「令和8年現在の贈与税」は別です
令和8年度税制改正
令和8年度に新たに改正された内容を確認するページです。
令和8年現在の贈与税
過年度改正の経過措置も含め、現在どの贈与税ルールが適用されるかを確認する恒久情報です。
よくある質問
Q.5年以内に買った賃貸不動産は、必ず取得価額の80%で評価されますか?
Q.5年以上前に取得した賃貸不動産なら関係ありませんか?
Q.教育資金一括贈与が終わったので、祖父母が孫の学費を払うと贈与税がかかりますか?
Q.110万円贈与や7年加算も令和8年度改正ですか?
当事務所の考え方
税制改正は、改正項目をすべて覚えることより、ご自身の財産・贈与・不動産・事業承継にどの改正が影響するのかを確認することが重要です。
特に貸付用不動産の評価見直しは、不動産を活用した相続対策の判断に影響します。ただし、2026年8月9日現在は、財務省大綱で示された内容と、今後国税庁が定める具体的な評価通達を分けて理解する必要があります。
主な一次情報
- 財務省|令和8年度税制改正の大綱(資産課税)
- 財務省|令和8年度税制改正の大綱(個人所得課税)
- 財務省|令和8年度税制改正の大綱(法人課税)
- 国税庁|教育資金一括贈与の非課税制度
- 国税庁|財産評価 一部改正通達
本ページは、令和8年度税制改正のうち当事務所の主要業務との関連が大きい項目を一般的に整理しています。貸付用不動産の評価見直しについては、今後の国税庁通達等の公表内容に応じて更新します。


















