物納の手続き方法
延納でも納付が困難な場合には、一定の手続と条件下で金銭の代わりに、有価証券や不動産などを直接納める物納という方法が認められます。
物納できる財産は、何でも良いというものではなく国が管理処分するのに適したものでなければなりません。
以下の順番で物納の対象になります。
第一順位 国債、地方債、不動産、船舶
第二順位 社債・株式などの有価証券
第三順位 動産
物納する場合には、相続開始から10ヶ月以内に物納申請書を税務署に提出しなければなりません。
また物納の手続後、一定期間内に限り物納を撤回して本来の金銭による納付に戻すこともできます。
目次
物納申請書の書き方
物納証明書には下記の内容を記載する必要があります。
・相続税を金銭で納めるのが難しい事情
・物納に充てようとする財産の種類
・物納に充てようとする財産の価格
場合によっては、不動産の登記事項証明書や公図の提出も併せて必要となります。
物納の審査期間
納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに物納申請書に物納手続関係書類を添付して提出してください。
物納申請書が提出された場合は、申請期限から3ヶ月以内に許可又は却下を行います。なお、申請財産の状況によっては、最長で9ヶ月まで延長する場合があります。
ただし、期限までに物納手続き関係書類を提出することができない場合は、 届出により提出期限の延長(最長1年)が認められます。
物納の再申請等
物納申請した財産が管理処分不適格と判断された場合には、 従来求めていた財産の変更要求ではなく、物納申請が却下されますが、
その却下された財産に代えて1回に限り、他の財産による物納の再申請を行うことができます。
なお、延納により金銭で納付することを困難とする事由がないことを 理由として物納申請の却下があった場合に限り、物納から延納へ変更することができます。
条件付許可
汚染物質除去の履行義務などの条件を付されて物納の許可を受けた後に、 許可財産に土壌汚染等の瑕疵があることが判明した場合には、 汚染の除去等の措置を求められることとなります。
なお、物納許可後5年以内に上記の措置を求められ、その措置ができない場合には、 物納許可が取り消されることがありますのでご注意ください。
利子税の納付
物納申請をした場合には、物納財産を納付するまでの期間に応じ、 利子税(年4.1%)の納付が必要となります。
ただし、税務署の手続に要する期間は利子税が免除されます。
※上記の利子税の割合は、基準日における公定歩合が年0.1%である場合に適用される割合です。
延納申請書に添付して提出すべき担保提供関係書類
延納申請書に添付して提出すべき担保提供関係書類(例示:土地又は建物の場合)
延納申請期限までに延納申請書に添付して提出してください。
土地
登記事項証明書(登記薄謄本)、固定資産税評価証明書など土地の評価の明細、 抵当権設定に必要な書類(抵当権セ一定登記承諾書、印鑑証明書)を提出する旨の申出書
建物
登記事項証明書(登記薄謄本)、固定資産税評価証明書など土地の評価の明細、 抵当権設定に必要な書類(抵当権セ一定登記承諾書、印鑑証明書)を 提出する旨の申出書、保険所券等の写し、質権設定承認請求書
物納管理処分不適格財産(例示:不動産の場合)
次に掲げるような財産は、物納に不適格な財産となります。
- 不動産
- 担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産
- 権利の帰属について争いがある不動産
- 境界が明らかでない土地
- 隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ 通常の使用ができないと見込まれる不動産
- 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で民法第210条の規定による通行権の内容が明確でないもの
- 借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
- 他の不動産(他の不動産の上に存する権利を含む。)と 社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産又は二以上の者の共有に属する不動産
- 耐用年数(所得税法の規定に基づいて定められている耐用年数をいう) を経過している建物(通常の使用ができるものを除く。)
- 敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産
- その管理又は処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産
- 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産
- 引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産
物納劣後財産(例示:不動産の場合)
次に掲げるような財産は、他に物納に充てるべき適当な 財産がない場合に限り物納に充てることができます。
- 地上権、永小作権若しくは耕作を目的とする賃借権、地役権又は入会権が設定されている土地
- 法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地
- 土地区画整理法による土地区画整理事業等の試行に係る土地につき仮換地又は一時利用地の指定がされていない土地(当該指定後において使用又は収益をすることができない土地を含む。)
- 現に納税義務者の居住の用又は事業の用に供されている建物及びその敷地(当該納税義務者が当該建物及びその敷地について物納の許可を申請する場合を除く。)
- 劇場、工場、浴場その他の維持又は管理に特殊技能を要する建物及びこれらの敷地
- 建築基準法第43条第1項に規定する道路に2メートル以上接していない土地
- 都市計画法の規定による都道府県知事の許可を受けなければならない 開発行為の基準に適合しないときにおける当該開発行為に係る土地
- 都市計画法に規定する市街化区域以外の区域にある土地 (宅地として造成することができるものを除く。)
- 農業振興地域の整備に関する法律の農業振興地域整備計画において 農用地区域として定められた区域内の土地
- 森林法の規定により保安林として指定された区域内の土地
- 法令の規定により建物の建築をすることができない土地 (建物の建築をすることができる面積が著しく狭くなる土地を含む。)
- 過去に生じた事件又は事故その他の事情により、 正常な取引が行われないおそれがある不動産及びこれに隣接する不動産
物納申請書に添付して提出すべき物納手続き関係書類(例示:更地の場合)
物納申請期限までに物納申請書に添付して提出してください。
共通/更地(借地権等の設定がないもの)・・・
所在図(住宅地図)、公図の写し、登記事項証明書(登記薄謄本)、 地積測量図、境界確認書・道路明示証、 土地の維持管理に要する費用の明細書、所有権移転に必要な書類 (所有権移転登記承諾書、印鑑証明書)を提出する旨の申出書
土地の状況によって追加が必要なもの/建物等の越境がある場合・・・
越境物の撤去等を約する旨の確認書
土地の状況によって追加が必要なもの/建築基準法上の道路に接していない場合・・・
隣地を通行することを承諾した書類
土地の状況によって追加が必要なもの/電柱がある場合・・・
電柱等に係る土地使用承諾書の写し
土地の状況によって追加が必要なもの/仮換地の場合・・・
仮換地指定通知書の写し
物納証明書は多くの方が書いたことのない書類であり、書き方が分からない場合がほとんどだと思います。
当事務所では物納証明書につきましても相続税の専門家による無料相談を行っています。
少しでもお困り事がある方は是非お気軽にご相談ください。

- 相続手続きトータルサポート(相続手続き+相続税申告)
- 相続税申告・納税
- 相続税の節税チェックポイント
- 相続税・贈与税改正のポイント
- 民法改正のポイント
- 相続税の仕組みと申告
- 課税対象財産
- 相続税評価額の算出
- 物納の手続き方法
- 延納の手続き方法
- 税務署がチェックしてくること
- 相続税がかかるか心配な方へ
- 相続税の計算方法
- 相続税の基礎控除/基礎控除を超えたら当事務所にお任せください
- 各種控除について
- 財産を把握し、評価する
- 宅地の評価(自分で使用している宅地)
- 借地・貸地
- 上場株式
- 取引相場のない株式
- 預貯金や公社債(金融資産)
- 生命保険・死亡退職金
- その他、相続財産
- 相続発生後の節税対策!これだけは押さえておきたい4つのポイント
- 相続税の申告を税理士に依頼する理由とは?5つのメリットを紹介
- 相続税の申告書15種類と提出先
- 【相続財産別】相続税の申告に必要な書類一覧
- 相続税申告期限がギリギリになってしまった方
- 10ヶ月以内に遺産分割&相続税申告しなかった場合
- 加算税、延滞税を納付する
- 相続税のQ&A
- 相続税申告で失敗しないためのポイント
- 相続税の失敗事例
- 税務署からの相続税についてのお尋ね/お知らせが届いた方へ
- 申告書を自分で作成したい方
- 税負担の軽減
- トータル税金対策とは