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生命保険を使った相続対策|節税だけでなく納税・分割・受取人まで税理士が解説

相続に備えたい方へ|生命保険

生命保険を使った相続対策

生命保険に入れば相続対策になる、とは限りません。大切なのは「誰が保険料を払い、誰が受け取り、そのお金を何のために使うのか」です。

30秒で結論|生命保険は「節税」だけで考えません。
生命保険には、相続税の納税資金を準備する、分けにくい財産を補う、一定の非課税枠を使う、大切な不動産等を急いで売却せずに済むよう現金を確保する、といった役割があります。一方で、保険料負担者や受取人の設定を誤ると、想定と異なる税金がかかることがあります。

4 ROLES

生命保険を相続で使う4つの役割

生命保険を使った相続対策のポイント
生命保険は、非課税枠だけでなく、納税・分割・資産保全まで含めて検討します。
払う

相続税や相続後の支出に備えて、現金を確保します。

分ける

不動産や自社株など、分けにくい財産を承継する際の資金を補います。

減らす

要件を満たせば、死亡保険金に相続税の非課税限度額があります。

守る

納税のためだけに大切な不動産等を急いで売却するリスクを抑えます。

当事務所では、非課税枠が余っているから加入する、という順序では考えません。
まず相続税額、納税資金、財産の分け方、老後資金を確認し、そのうえで生命保険が必要かを判断します。

TAX EXEMPTION

死亡保険金の非課税枠|500万円×法定相続人の数

被相続人が保険料を負担した死亡保険金を相続人が受け取る場合、一定額まで相続税が非課税になります。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例|妻+子2人

法定相続人は3人ですので、非課税限度額は1,500万円です。相続人が取得した死亡保険金の合計額について、この限度額を基準に計算します。

相続人以外が受け取る場合

相続人以外が取得した死亡保険金には、この生命保険金の非課税規定は適用されません。

相続放棄がある場合は少し複雑です。
法定相続人の「数」は、相続放棄がなかったものとして計算します。一方、相続放棄をした人自身が取得した保険金には、生命保険金の非課税規定は適用されません。

MOST IMPORTANT

最重要|「誰が保険料を払ったか」で税金が変わります

生命保険の税務では、契約者欄だけを見るのでは不十分です。実際の保険料負担者を確認します。

父が保険料を負担
父が死亡 → 子が受取
相続税
子が保険料を負担
父が死亡 → 子が受取
所得税
母が保険料を負担
父が死亡 → 子が受取
贈与税
税務署・税理士が確認する資料
  • 保険証券・契約内容
  • 保険料の引落口座
  • 保険料の資金原資
  • 契約者・受取人の変更履歴
  • 実際に誰が保険料を負担していたか
裁決でも「実質的な保険料負担者」が問題になっています。
国税不服審判所の公表裁決では、生命保険金が相続税か所得税かを判定するに当たり、形式的な契約者だけではなく、口座・収入・資金の流れ等から保険料の実質負担者が認定されています。

BENEFICIARY

受取人を誰にするかは、相続設計そのものです

死亡保険金は原則として遺産分割の対象ではありません

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は相続税上のみなし相続財産ですが、本来の相続財産とは異なり、契約上の受取人が取得します。

受取後に家族で分ければよい、とは限りません

契約上の受取人が受領した保険金を別の人へ渡すと、その受取人から相手方への贈与として贈与税の対象となる場合があります。

「長男を受取人にして、あとで兄弟で均等に分ける」は要注意。
保険金を誰に残したいのかは、契約時・受取人変更時に整理しておくことが重要です。

孫を受取人にするとき

孫など相続人以外の人が死亡保険金を取得する場合、生命保険金の非課税枠を使えないことがあります。また、被相続人の配偶者・一親等の血族等以外の人には、原則として相続税額の2割加算が生じます。孫養子についても、代襲相続人である場合などを除き2割加算の対象となることがあります。

法律上の補足
死亡保険金請求権は原則として受取人固有の権利と扱われます。ただし、共同相続人間に著しい不公平が生じるような特段の事情があるケースでは、特別受益との関係が問題となり得ます。個別事案では弁護士等と連携して確認します。

DIVISION & CASH

不動産・自社株が多いご家庭ほど「現金を残す」意味があります

相続財産の大半が不動産や自社株の場合、税額だけでなく「誰が現金を持つか」が重要です。

納税資金

相続税は原則として期限までの金銭一括納付です。保険金を納税原資の一部として設計できます。

代償分割の資金

一人が不動産等を取得し、他の相続人へ代償金を支払う場合、その資金準備に生命保険を利用する方法があります。

資産を急いで売らない

納税期限のためだけに収益不動産や事業用資産を急いで換金する事態を避けるため、流動性を準備します。

注意:生命保険金を代償金の原資にする場合でも、遺産分割協議の内容、保険金受取人、代償債務との関係を個別に設計する必要があります。「保険金を他の相続人に渡せば自動的に代償分割になる」という意味ではありません。

MISTAKES

生命保険を使った相続対策で、よくある注意点

×

非課税枠だけを見て加入する

保険料を払った後の生活資金や、保険金を誰が必要とするかまで確認します。

×

契約者名義だけで税金を判断する

重要なのは実際の保険料負担者です。引落口座や資金原資まで確認します。

×

受取人を昔のまま放置する

家族関係や遺言、財産構成が変われば、受取人設計も見直す必要があります。

×

保険金を後から自由に分ける

契約上の受取人から別の人へ渡すことで、贈与税が問題になることがあります。

×

孫なら必ず有利だと思う

非課税枠や相続税額の2割加算を含め、受取人ごとの税負担を比較します。

×

相続税だけを減らそうとする

節税額より、納税資金・遺産分割・老後資金を含めた家族全体の結果を重視します。

ANOTHER POINT

死亡保険金だけでなく「生命保険契約に関する権利」も確認します

相続開始時に、まだ保険事故が発生していない契約がある場合も相続税評価の対象となることがあります。

原則は、相続開始時の解約返戻金相当額で評価

相続開始時にまだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利は、原則として、その時点で解約した場合に支払われる解約返戻金相当額を基礎として評価します。前納保険料や剰余金等がある場合には調整が必要です。

旧来の「低い解約返戻金の時に名義を変えれば節税」という発想だけで実行しないでください。
契約変更時点だけでなく、誰が保険料を負担し、その後誰が解約返戻金・満期保険金等を取得するのかまで含めて課税関係を確認する必要があります。

SELF CHECK

生命保険の相続対策セルフチェック

  • 相続税の概算額を把握している
  • 相続税を払う現預金が足りるか確認した
  • 保険料を実際に誰が負担しているか分かる
  • 現在の死亡保険金受取人を確認した
  • 不動産・自社株を誰が取得するか考えている
  • 受取人が相続人かどうか確認した
  • 相続放棄や孫受取の影響を確認した
  • 保険加入後も十分な老後資金が残る
チェックが付かない項目が多い場合は、商品を選ぶ前に相続全体を整理する方が先です。

OUR POLICY

当事務所の考え方

保険に入ることを目的にしません

相続税額、納税資金、財産の分け方、不動産、老後資金を整理し、生命保険が必要な場合に一つの選択肢として検討します。

「誰に、何のために残すか」を先に考えます

非課税枠を使うこと自体ではなく、保険金を誰が受け取り、その資金が相続後にどう役立つかを重視します。

FAQ

よくある質問

相続放棄をしても死亡保険金を受け取れますか?
契約上の受取人として取得できる場合があります。ただし、相続放棄をした人が取得する保険金には、生命保険金の相続税非課税規定は適用されません。
孫を死亡保険金の受取人にすると節税になりますか?
一概にはいえません。相続人でなければ生命保険金の非課税枠が使えず、相続税額の2割加算が生じる場合もあります。
受取人になった子が、保険金を母や兄弟へ分けてもよいですか?
税務上は注意が必要です。契約上の受取人が取得した後に他の人へ渡すと、贈与税の対象となる場合があります。
契約者を親から子へ変更すると、すぐ贈与税がかかりますか?
契約者変更だけで直ちに贈与税課税となるとは限りません。ただし、その後に保険料負担者ではない人が解約返戻金や満期保険金等を取得すると課税関係が生じる場合があります。実際の保険料負担関係を含めて確認が必要です。
生命保険はいくら入ればよいですか?
非課税枠だけで決めるのではなく、相続税の概算額、手元現金、不動産等の取得者、代償金、老後資金を確認して必要額を考えます。

生命保険だけでなく、相続全体から整理します

「保険に入るべきか」からではなく、現在の財産・相続税・納税資金・分け方を確認し、必要な対策を整理します。

0422-07-5393
佐々木税務会計事務所
 
この記事を担当した執筆者
佐々木税務会計事務所 共同代表 佐々木 清子
保有資格税理士・行政書士
専門分野相続税・家族問題・不動産
経歴大手税理士法人において、相続税申告、財産評価、遺産分割、生前対策、相続手続など、数多くの資産税案件に携わった後、佐々木税務会計事務所の共同代表として現在に至ります。 これまで、遺産総額数千万円規模の一般のご家庭から、数百億円規模の資産を有する地主・企業オーナーまで、幅広いお客様の相続・資産承継をサポートしてまいりました。 相続は、ご家族ごとに抱える事情や想いが異なり、同じ案件は一つとしてありません。 そのため私は、税法や制度だけに目を向けるのではなく、お客様一人ひとりのお話を丁寧にお伺いし、ご家族にとって最適な選択肢をご提案することを何より大切にしています。 相続税申告はもちろん、財産評価、遺産分割、生前対策、遺言書の作成、資産承継など、それぞれのご家庭の状況に応じたきめ細やかなサポートを心掛けています。 また、相続手続が完了した後も、ご家族が安心して生活を送れるよう、資産承継後の見守りや財産管理に関するご相談にも継続して対応しております。 相続は、一度きりの手続きではなく、ご家族のこれからの人生につながる大切な節目です。 だからこそ、お客様の不安に寄り添い、一つひとつの疑問を丁寧に解消しながら、安心して未来へ歩んでいただけるよう、誠実にサポートしてまいります。
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