自筆証書遺言とは?作り方・要件・法務局保管・注意点を税理士が解説
自筆証書遺言は、自分で作成できる身近な遺言です。まずは難しい法律の話より、「書き方・保管・内容」の3点だけ押さえて全体像をつかみましょう。
30秒で結論
自筆証書遺言は「自分で作れる」。ただし、作る前に3点を確認します
方式
法律上の作成ルールを守れているか。
保管
死亡後に見つかり、手続に使える状態か。
内容
誰に何を残すか、その分け方に問題がないか。
BASIC
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言は、公証人を介さず、遺言者本人が法律で定められた方式に従って作成する遺言です。証人を用意せず作成でき、作成自体に公証人手数料もかからないため、比較的始めやすい方法です。
ただし、「自分で作れる」ことと「簡単に間違いなく作れる」ことは同じではありません。形式に不備があれば遺言として問題になり、形式が整っていても、財産の分け方によって遺留分・不動産共有・相続税など別の問題が残ることがあります。
REQUIREMENTS
現在の自筆証書遺言で押さえる基本要件
2026年8月10日現在の現行制度では、原則として遺言書の全文・日付・氏名を本人が自書し、押印します。一方、添付する財産目録には自書の例外があります。
| 項目 | 基本 | ポイント |
|---|---|---|
| 本文 | 本人が自書 | パソコンで作った本文に署名するだけでは、現在の自筆証書遺言の方式を満たしません。 |
| 日付 | 本人が自書 | 作成日を特定できる年月日を記載します。 |
| 氏名 | 本人が自書 | 遺言者本人を特定できるよう記載します。 |
| 押印 | 現在は必要 | 2026年改正による見直し予定がありますが、現時点では現行法に従います。 |
| 財産目録 | 自書しなくても可 | パソコン作成等が可能ですが、現行法所定の署名・押印が必要です。 |
| 訂正 | 所定の方式あり | 訂正が多い場合は書き直しも検討します。 |
具体的な文例、財産の特定方法、訂正方法は子ページ「自筆証書遺言の書き方」で詳しく解説します。
BEFORE WRITING
いきなり書かず、先に「誰に・何を」を整理します
誰が相続人か
何を持っているか
誰に何を残すか
方式に沿って書く
自宅か法務局か
STORAGE
作った後は「どこに保管するか」
自宅などで保管
費用をかけず保管できますが、紛失・隠匿・発見されないリスクを自分で管理します。相続開始後は原則として家庭裁判所の検認が必要です。
法務局で保管
法務局で保管された自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が不要です。死亡後に遺言の存在を相続人等へ知らせるための通知制度もあります。
申請先・必要書類・手数料・通知・死亡後の取得方法は、子ページ「自筆証書遺言書保管制度」で詳しく扱います。
CHOICE
自筆証書遺言か、公正証書遺言か
どちらが一律に優れているということではなく、家族関係・財産・遺言内容に応じて選びます。
| 判断の視点 | 自筆証書遺言を検討しやすい | 公正証書遺言も比較したい |
|---|---|---|
| 家族・財産 | 比較的シンプル | 複雑、関係者が多い |
| 作成 | 自分で進めたい | 公証人が関与する方式を選びたい |
| 不動産 | 承継先が明確 | 複数物件・共有回避・将来売却も考える |
| 遺留分 | 大きな問題が想定されない | 侵害や家族間対立が気になる |
| 相続税 | 税負担が大きくない | 二次相続・納税資金まで設計したい |
TAX & REAL ESTATE
相続税がかかる方は「遺言が有効か」だけで終わりません
一般的な自筆証書遺言の記事は、形式要件や書き方が中心です。当事務所では、その先の「その分け方で本当に大丈夫か」まで確認することを重視します。
一次相続+二次相続
一次相続の税額だけでなく、その後の二次相続まで含めて税負担を考えます。
不動産+納税資金
相続税評価だけでなく、時価・収益力・共有・将来売却・納税資金まで見て承継先を考えます。
遺留分・不動産・相続税・二次相続等の詳細は、別途「遺言で失敗しないための設計」ページで深掘りし、本ページでは自筆証書遺言を選ぶために必要な範囲に留めます。
CAUTION
最低限確認したい6項目
形式
作成時点の法律上の方式を守る。
財産
どの財産か判別できるようにする。
受取人
誰に残すのかを曖昧にしない。
遺留分
死亡後の請求リスクも考える。
保管
見つからない状態を防ぐ。
見直し
家族・財産が変われば再確認する。
2026 LAW UPDATE
2026年改正は「今のルール」と分けて確認
2026年6月24日に公布された令和8年法律第45号では、遺言制度について押印の任意化等や、新たな保管制度に関する改正が予定されています。ただし、2026年8月10日現在、将来施行される規定があります。
FAQ
よくある質問
Q. 自筆証書遺言は全部手書きですか?
2026年8月10日現在、本文・日付・氏名は原則として本人の自書が必要です。一方、添付する財産目録には自書の例外があります。
Q. 法務局に預ければ検認は不要ですか?
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管された遺言書は、家庭裁判所の検認が不要です。
Q. 法務局が内容まで確認してくれますか?
法務局での保管は、遺言内容の法律上・税務上の妥当性まで保証するものではありません。
Q. 一度作った遺言は変更できますか?
遺言は後から変更・撤回できます。財産や家族関係が変わった場合は見直します。
Q. 相続税がかかりそうでも自筆証書遺言でよいですか?
方式として自筆証書遺言を選ぶことはできます。ただし、財産の取得者によって相続税・二次相続・納税資金等が変わるため、文章作成前の試算が重要です。
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