遺言の種類|自筆証書・公正証書・秘密証書【2026年改正対応】
まずは全体像をつかみましょう
普段検討する中心は、自筆証書遺言と公正証書遺言です。方式を選ぶ前に、家族・財産・税金を確認します。

30秒で結論|迷ったら「自筆か公正証書か」から考える
自筆証書遺言
手軽さ・費用を重視。法務局保管制度を使えば、紛失等のリスクを抑え、検認も不要になります。
公正証書遺言
確実性を重視。公証人が関与し、原本の保管体制があり、検認も不要です。
税理士ならここを見る|種類を決める前に、財産内容を確認
- 自宅・賃貸不動産
- 預貯金・証券
- 自社株・事業用財産
- 生命保険・借入金
- 相続税の概算
- 配偶者の税額軽減
- 小規模宅地等
- 納税資金・二次相続
「自筆か公正証書か」は入れ物の選択です。先に財産承継の中身を設計します。
どの方式を選ぶ?

自筆証書と公正証書を比較

自筆証書遺言|自分で作れる。ただし方式を守る
2026年8月現在、通常の自筆証書遺言は、原則として全文・日付・氏名を本人が自書し、押印します。財産目録は2019年1月13日以後、一定の要件でPC作成や登記事項証明書・通帳コピー等を利用できます。
メリット
- 自分のタイミングで作れる
- 費用を抑えやすい
- 見直しやすい
注意
- 方式不備で無効となるリスク
- 自宅保管では紛失・改ざん等のリスク
- 法務局保管を使わない場合は原則検認が必要
法務局保管|検認不要。ただし「通知制度」に注意
2020年7月10日から、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に保管できる制度が始まりました。保管申請手数料は現在1通3,900円です。
メリット
- 法務局で原本を保管
- 紛失・改ざん等のリスクを軽減
- 家庭裁判所の検認が不要
重要な注意
- 内容の法的有効性まで保証する制度ではない
- 死亡後の一定手続を契機に通知制度が動く
- 秘密のまま執行できる制度ではない
公正証書遺言|確実性を重視するなら有力
公正証書遺言は、公証人が関与して作成する普通方式の遺言です。検認不要で、原本の保管体制も整っています。
向いているケース
- 不動産・自社株等がある
- 相続人が多い・関係が複雑
- 財産配分に差がある
- 方式不備のリスクを抑えたい
2025年10月から
- 公正証書作成手続をデジタル化
- 原則PDF形式の電磁的記録で作成
- 一定の要件でWeb会議方式も可能
秘密証書遺言|制度はあるが利用場面は限定的
遺言内容を秘密にしたまま、公証人・証人に本人の遺言書であることを確認してもらう方式です。公証人は内容を確認しないため、内容面の不備が残る可能性があります。
| 項目 | 秘密証書遺言 |
|---|---|
| 内容の秘密 | 保ちやすい |
| 内容面の確認 | 公証人は確認しない |
| 保管 | 本人 |
| 検認 | 原則必要 |
| 法務局保管制度 | 利用不可 |
2026年改正|遺言制度はさらに使いやすくなります
改正① 押印の任意化等
公布から1年を超えない範囲内で政令が定める日に施行されます。
2026年8月現在はまだ施行前のため、現時点で自筆証書遺言を作成する場合は、現行の方式に従います。
改正② 「保管証書遺言」の創設
パソコン等で作成した遺言を、法務局で保管する新しい普通方式が創設されます。
システム改修を要するため、公布から3年を超えない範囲内で政令が定める日に施行されます。
結局、どれを選ぶ?
| 希望・状況 | まず検討 |
|---|---|
| 費用を抑えて自分で作りたい | 自筆証書+法務局保管 |
| 確実性を重視したい | 公正証書遺言 |
| 不動産・自社株・相続人が多い | 公正証書を有力候補に |
| PC等を使う新方式を希望 | 保管証書遺言は施行後に検討 |
よくある質問
Q. 自筆証書遺言を法務局で保管すれば無効になりませんか?
法務局では方式について外形的確認が行われますが、遺言内容の法的有効性まで保証する制度ではありません。
Q. 法務局保管なら他の相続人に知られませんか?
そうとは限りません。死亡後、一定の閲覧・証明書交付を契機に、その他の関係相続人等へ通知されます。
Q. 公正証書遺言は法務局で保管されますか?
いいえ。公正証書遺言は公証制度の下で原本が保管されます。
Q. 保管証書遺言ができるまで待つべきですか?
一律に待つ必要はありません。2026年8月現在は未施行です。今作る必要性が高ければ現行制度で作成します。
当事務所の考え方|方式より先に「何を実現したいか」
家族
誰に何を残すか。
財産
不動産・自社株・預金をどう承継するか。
税務
相続税・納税資金・二次相続まで確認。


















