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遺言が必要な人・遺言が役立つケース

遺言は全員に必須ではありません。
ただし「話合いだけに任せない方がよい家庭」があります。

まずは難しい法律ではなく、次の4つに当てはまるかを確認してください。

1法定相続では
希望どおりにならない
配偶者・内縁・第三者など
2家族全員の
話合いが難しそう
人数・関係・所在・能力
3分けにくい
財産がある
自宅・賃貸不動産・自社株
4守りたい人・
承継したい目的がある
生活保障・事業・寄付など

30秒で結論

一つでも強く当てはまれば、遺言を検討する価値があります

遺言が特に役立つのは、「法律どおりに相続すると本人の希望とずれる」「死亡後の全員協議が難しい」「特定の財産を特定の人へ残したい」というケースです。
ただし、遺言を書けばすべて解決するわけではありません。遺留分、相続税、納税資金、不動産の共有、認知症、相続放棄などは別途確認が必要です。

SELF CHECK

まずは遺言必要度チェック

  • 子どもがいない夫婦である
  • 内縁・事実婚のパートナーがいる
  • 再婚しており、前婚の子がいる
  • 相続人以外の人へ財産を残したい
  • 介護してくれた子の配偶者などへ財産を残したい
  • 障害・病気等で生活保障が必要な家族がいる
  • 家業・会社・賃貸経営を継ぐ人が決まっている
  • 財産の大部分が不動産・自社株である
  • 相続人が多い
  • 疎遠・面識のない相続人がいる
  • 行方不明・海外在住の相続人がいる
  • 相続人に未成年者や判断能力が低下した人がいる
  • 特定の不動産を特定の人へ残したい
  • 孫など次世代へ直接財産を残したい
  • 財産を公益法人・団体等へ寄付したい
  • 相続人がいない、または将来いなくなる可能性がある
チェック数だけで機械的に判断しません。一つでも「これは家族に任せると難しそう」と感じる項目があれば、遺言が役立つ可能性があります。
01

法定相続では、希望どおりにならないケース

CASE 1

子どもがいない夫婦

子・孫がおらず、親も亡くなっている場合、配偶者だけでなく兄弟姉妹等が相続人となることがあります。「配偶者へ全部残したい」なら遺言の必要性が高い典型例です。

法務局も「こどもがいない夫婦」は遺言書を書いておく必要性が高い例として案内しています。

特に検討
CASE 2

内縁・事実婚のパートナーがいる

内縁関係の配偶者は法定相続人ではありません。財産を残したい場合は、遺贈等を内容とする遺言を検討します。

「長年一緒に暮らしたから当然に相続できる」とは限りません。

特に検討
CASE 3

子の配偶者・介護してくれた人へ残したい

長男の妻、長女の夫、友人、介護で世話になった人などは、通常は法定相続人ではありません。本人へ直接財産を残したいなら遺言を検討します。

感謝の気持ちと、法的な承継方法は分けて考えます。

CASE 4

公益団体・学校・寺院等へ寄付したい

死亡後に財産を社会・公益のために使いたい場合も、遺贈寄付を内容とする遺言が有力な手段です。

受入条件・換価方法・税務等は受遺団体と事前確認する方が安全です。

02

相続人全員での話合いが難しくなりそうなケース

遺言がない場合、具体的に誰がどの財産を取得するかは、相続人全員による遺産分割協議が必要になることがあります。

CASE 5

相続人が多い

人数が増えるほど、居住地・生活状況・希望が異なり、全員での調整が複雑になりやすくなります。

遺言で特定財産の承継先を明確にしておく実益があります。

CASE 6

再婚・前婚の子など家族関係が複雑

再婚配偶者と前婚の子、認知した子などがいる場合、普段交流のない人同士が相続人として初めて話し合う可能性があります。

現在の配偶者の生活保障と子の権利を両方見て設計します。

特に検討
CASE 7

疎遠・面識のない・海外在住の相続人がいる

連絡・書類のやり取り・合意形成に時間を要する可能性があります。遺言によって死亡後の協議負担を軽減できるケースがあります。

海外居住者の手続や税務は別途確認が必要です。

CASE 8

行方不明の相続人がいる

遺産分割協議は「見つからない人を除いて進める」ことはできません。遺言で承継先を決めることで、協議を避けられる財産もあります。

ただし相続人調査や遺留分等が不要になるという意味ではありません。

CASE 9

相続人に未成年者・判断能力が低下した人がいる

遺産分割では特別代理人・成年後見等の問題が生じることがあります。遺言があれば遺産分割自体を避けられる財産もあります。

遺言だけで法定代理・後見のすべての問題がなくなるわけではありません。

CASE 10

相続人同士の考え方が既に違う

「自宅を残したい人」と「売りたい人」がいるなど、死亡前から方向性の違いが分かっている場合は、本人の意思を明確に残す意味があります。

遺留分を含め、実行可能な内容にすることが重要です。

03

「均等に分ける」とかえって困る財産があるケース

不動産・自社株そのまま均等分割しにくい
誰が持つ?使う・管理する人を決める
他財産で調整預金・保険・換価等も比較
CASE 11

財産の大部分が不動産

土地・自宅・賃貸不動産は、預金のように簡単には分けられません。「子2人だから2分の1ずつ共有」が将来の管理・売却を難しくすることもあります。

遺言で単独承継・換価・他財産との調整を考えます。

特に検討
CASE 12

家業・会社・自社株を継ぐ人が決まっている

事業用不動産や自社株を相続人全員へ細かく分散させることが、事業承継上適切とは限りません。

後継者への集中承継と、他の相続人への財産配分・遺留分を同時に設計します。

特に検討

不動産がある場合の遺言|共有・評価・換価をどう考える? →

04

特定の人の生活・将来を守りたいケース

CASE 13

配偶者の住まい・生活を特に守りたい

自宅と生活資金をどこまで配偶者へ残すかを、他の相続人・遺留分・二次相続まで含めて考えます。

「配偶者に全部」が必ずしも税務上・家族全体で最適とは限りません。

CASE 14

障害・病気などで生活支援が必要な家族がいる

法定相続分だけでは将来の生活に十分でない場合、特定の家族へ多く残すことを検討できます。

財産を多く残すだけでなく、管理を誰が担うかまで確認します。

CASE 15

孫など次世代へ直接残したい

遺言で孫等へ直接遺贈する設計も考えられます。しかし、代襲相続人でない孫などは相続税額の2割加算の対象になる場合があります。

「一代飛ばせば必ず節税」とは考えません。

CASE 16

相続人がいない・財産の行先を自分で決めたい

法定相続人がいない場合でも、当然に自分の希望する人や団体へ財産が渡るわけではありません。遺贈・寄付等を明確にしておく意味があります。

受遺者・団体の受入可否や執行者まで考えておきます。

特に検討

IMPORTANT

遺言が「役立つケース」と「遺言だけでは足りないケース」を分けます

悩み遺言ができること別途確認すること
配偶者へ自宅を残したい承継先を指定遺留分・相続税・二次相続
不動産を長男へ残したい特定財産の承継を指定市場価値・共有回避・納税資金
内縁の配偶者へ残したい遺贈を指定相続税・住居・遺留分等
認知症後の財産管理を任せたい死亡後の承継は可能生前の認知症対策は別制度
葬儀・納骨を確実に任せたい付言で希望を伝えられる死後事務委任等を検討
相続税を安くしたい分け方を設計できる遺言自体は節税制度ではない
特に誤解しやすい点:遺言は「死亡後の財産承継」の制度です。認知症になった後の財産管理・契約を誰かに任せる制度ではありません。

TAX ACCOUNTANT’S VIEW

税理士はここを見る|「遺言が必要か」だけでなく、作った後に困らないか

法律・家族の視点
  • 誰が法定相続人になるか
  • 遺留分を持つ人は誰か
  • 遺産分割協議が現実にできそうか
  • 特定の人へ残す理由は何か
  • 遺言執行者が必要か
税務・財産の視点
  • 誰が取得すると相続税がどう変わるか
  • 配偶者の税額軽減・小規模宅地等
  • 不動産の相続税評価と市場価値
  • 相続税を払う現金があるか
  • 一次・二次相続まで見て適切か

遺言は「争族対策」だけでも「節税対策」だけでもありません。家族の希望を、実際に承継できる財産配分へ変えるための手段として考えます。

05

遺言を作る優先度を3段階で考える

優先度 高

  • 子のいない夫婦
  • 内縁・相続人以外へ遺贈
  • 再婚・複雑な家族関係
  • 不動産・事業を集中承継
  • 相続人がいない

優先度 中

  • 相続人が多い
  • 遠方・海外・疎遠な人がいる
  • 配偶者の生活を特に守りたい
  • 財産配分に差を付けたい

まず確認

  • 相続人が少なく関係良好
  • 財産がシンプル
  • 法定相続で希望と大きくずれない

それでも財産・家族の変化に備え、必要性を定期的に見直します。

NEXT STEP

「必要そう」と感じたら、次は3つだけ決めます

誰に配偶者・子・孫・第三者等
何を自宅・預金・不動産・株式等
どう残す単独・換価・予備的指定等
ここからが「遺言設計」です。遺留分・不動産・税金・納税資金・二次相続まで確認して、実際の遺言内容へ落とし込みます。

遺言で失敗しないための設計|遺留分・不動産・税金 →

FAQ

遺言が必要か迷う方のよくある質問

Q. 遺言は全員が作った方がよいですか?

必ずしも全員に必要とは限りません。法定相続でも本人の希望と大きくずれず、相続人・財産がシンプルな場合もあります。一方、法定相続では希望が実現しない、相続人全員での協議が難しい、分けにくい財産がある場合は作成を検討する価値が高くなります。

Q. 子どもがいない夫婦は、なぜ遺言が重要なのですか?

子・孫がおらず親も死亡している場合、配偶者と兄弟姉妹等が相続人になることがあります。「配偶者へ全財産を残す」という希望があるなら、遺言で明確にしておく必要性が高い典型ケースです。

Q. 内縁の妻・夫は遺言がなくても相続できますか?

内縁関係の人は法定相続人には含まれません。財産を残す場合は遺贈等を検討します。

Q. 仲の良い家族なら遺言はいらないですか?

家族関係が良好でも、不動産や事業用財産など分けにくい財産があると、誰が取得するかで判断が分かれることがあります。「仲が良いか」と「分けやすいか」は別に考えます。

Q. 相続人に行方不明者がいても、遺言があれば全部解決しますか?

いいえ。遺言によって遺産分割協議を避けられる財産はありますが、相続人調査、遺留分、相続税その他の手続が不要になるわけではありません。

Q. 相続人ではない孫へ遺言で財産を残せますか?

遺贈によって残すことは可能です。ただし、相続税では代襲相続人でない孫等に2割加算が適用される場合があります。遺留分等も含めて確認します。

Q. 遺言を作れば相続税は安くなりますか?

遺言そのものに節税効果があるわけではありません。ただし、誰がどの財産を取得するかによって、配偶者の税額軽減、小規模宅地等、二次相続、納税資金などの結果が変わる可能性があります。

Q. 認知症対策として遺言を作れば十分ですか?

十分ではありません。遺言は死亡後の財産承継を定める制度です。判断能力低下後の財産管理や契約に備えるには、任意後見・家族信託・財産管理委任等を別途検討します。

OUR VIEW

「遺言を書くべきか」ではなく、「死亡後に誰が困るか」から考えます

遺言の必要性は、年齢や財産額だけでは決まりません。重要なのは、遺言がない状態で死亡した場合に、誰が、何について話し合い、どの手続で困る可能性があるかです。

家族

誰が相続人になり、全員で話合いができるか。

財産

不動産・事業・自社株など分けにくいものがないか。

税務

取得者・特例・納税資金・二次相続まで実行可能か。

遺言は、財産が多い人だけのものではありません。法定相続では実現できない希望がある方、死亡後の家族の負担を具体的に減らしたい方にとって、特に意味のある制度です。

CONSULTATION

「うちの場合、遺言が必要か?」から整理できます

相続人・不動産・預金・家族関係を整理し、遺言を作る意味があるケースなのかを確認します。必要な場合は、遺留分・相続税・不動産・納税資金・二次相続まで考え、実行可能な財産承継へつなげます。

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この記事を担当した執筆者
佐々木税務会計事務所 共同代表 佐々木謙
保有資格
専門分野相続・贈与・不動産・法人経営
経歴経営コンサルティング会社において約10年間、企業経営や事業承継に関するコンサルティング業務に従事。その後、法律事務所にて約5年間、相続・資産承継に関する実務を経験し、大手税理士法人では約10年間にわたり、相続税申告、財産評価、事業承継、生前対策など資産税業務を専門に担当しました。 これまで培ってきた税務・法務・経営コンサルティングの知見を活かし、一般のご家庭から地主・企業オーナーまで、幅広いお客様の相続・資産承継をサポートしています。 現在は佐々木税務会計事務所の共同代表として、「創族(そうぞく)」を理念に掲げ、相続税申告にとどまらず、生前対策、遺言書作成、家族信託、事業承継など、ご家族の未来を見据えた総合的な相続サポートに取り組んでいます。 相続は税金だけの問題ではなく、ご家族の人生に関わる大切な節目です。税務・法務・経営、それぞれの視点から最適な解決策をご提案し、お客様が安心して未来へ歩んでいただけるよう、分かりやすく実践的な情報発信にも力を入れています。
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